矢野虎ラストの開幕はヤギ! 阪神青柳晃洋投手(28)が初の開幕投手に決定した。矢野燿大監督(53)が中日とのオープン戦(甲子園)後、既に通達していたと公表。昨季「投手2冠」の右腕はオフから開幕投手を目指すと公言し、大役を手にした。開幕2週間前の登板も7回を4安打、犠飛による1失点と好投。25日ヤクルト戦。雨の降らない京セラドーム大阪のマウンドに「雨柳さん」が立つ。

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矢野監督ラストイヤーの開幕投手は青柳に決まった。試合終了から数分後。報道陣に開幕投手を問われ、笑顔になった。「順番見たら分かるやん」と冗談めかした後に「もう前に言うてるよ」と明かした。開幕までちょうど2週間となる金曜日に公表。その1週間前となる4日楽天戦の登板後に、本人に「行くぞ!」と通達していた。やはり開幕投手は大本命だった背番号50。指揮官はその理由を力説した。

矢野監督 開幕投手って、結果だけじゃなくていろんな姿勢も求められると思う。それも含めてヤギでいいんじゃないか、ヤギに任せたいという気持ちで決めました。

青柳は昨季、25試合先発で13勝6敗、防御率2・48。夏には侍ジャパンの一員として東京五輪金メダリストとなり、最多勝と最高勝率の2冠を獲得した。実績を残して迎えた今春キャンプでも、従来の配球パターンを見直すなど新たな取り組みに着手。オフから開幕投手を目指すことを公言して、挑戦を続けた。今季限りで退任する指揮官による最後の指名は、成績だけではなく取り組む姿勢が決め手だった。

1歩ずつ階段を上る青柳の成長を間近で見続けた。ドラフト5位で入団した右腕を、16年からは2軍監督として指導。制球難など課題が多かったが、1軍監督となった19年から先発ローテに定着し、タイトルホルダーへと上り詰めた。

矢野監督 (元々は)うまい選手でも、センスある選手でもない。それが練習をしっかりやったり、素直な心を持って野球に取り組んでくると、こういう風なことがある。ヤギから学ばしてもらえた。

開幕の真っさらなマウンドに向かう右腕は、あふれる思いを抑えるように意気込みを語った。

青柳 光栄なことですし、選んでもらえたのはすごいうれしかった。どんな形でも勝ってチームに勢いをつけられるように頑張っていきたい。

この日は7回1失点と上々の出来も、3四球の内容に「四球が多かったり、カットボールが抜けたり、引っ掛けたり。まだまだ開幕に向けて状態を上げていきたい」と納得はしていない。次回登板となる18日オリックス戦を経て、さあ、開幕。矢野虎ラストイヤーが青柳の1球から始まる。【桝井聡】