ロッテのエンニー・ロメロ投手(31)は内野陣に拍手を送りながら、マウンドを下りた。仲間の拍手に送られながら、ベンチへ向かう。神様に感謝-。いつもそう口にするように、天を仰ぎつつ役目を終えた。

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二塁の中村奨を中心に守備陣がもり立てたが、それは一方で、ロメロの変化でもある。球威で空振りを取れる剛腕が、変わったように見える。本人は「特に変えたことはないんですけども」と言いつつ「一番の要因はリーグに慣れたのかなと思いますね」と自己分析する。

かつて中日で投げた左腕は、昨季後半戦でロッテ入りした。強打者たちに向かい合う中で、ストライク先行の重要性を知る。オフ、母国のドミニカ共和国に戻ると、球団にも相談した上で、ウインター・リーグで先発マウンドを重ねた。

「強制じゃない、自分が出たいなと思って」

それが効きましたね-。そう笑う。「自分の中ではそこでいい成績を残して。自分がやりたいことができたので、それが今の投球に生きていると思います」。井口監督も「技術的にかなりパワーアップしてきたのかな。こういう形で1年間ローテーションで回ってくれたら、かなり勝つんじゃないかなと思います」と期待を高める。

この日も無失点で、防御率は0・34になった。世の注目が佐々木朗に集まる中、ロメロは12球団トップの防御率を誇る。「日本で一番の投手じゃないかと思いますね。大谷選手とも同じぐらいのレベルで、もうちょっとしたらメジャーに行くんじゃないかというぐらいの本当に素晴らしい才能の持ち主」とチームメートに賛辞を並べつつ、自身の防御率については「数字に関しては僕はあんまり関心がないので、正直、見てなかった」と謙虚だ。

「僕はできることをやることなので、チームの勝利のために投げ続けます」

マウンドを託した2番手の東條が、後続を断った。ベンチから飛び出したロメロは強烈な拍手を11連発。東條に感謝のハイタッチをすると、そのまま尻もパーンといった。【金子真仁】