ロッテ本前郁也投手(24)が今季4試合目の先発で初勝利した。「打者の皆さんに助けていただいて、感謝のひと言です」。5回を投げ終えて神妙だった表情も、試合終盤にリードが開くと終始和らいでいた。

強烈すぎるパンチの連発から始まった。初回、1番丸に直球を先制ソロにされると、続く2番ウォーカーにはツーシームを左翼席へ運ばれた。ともにマウンドで動けないほど、当たった瞬間にそれと分かる一撃だった。

「ちょっとした緊張感、雰囲気だったりで球が浮いてしまうという…。周りから見たらいつも通りの、変わってない感じかなというのを、自分でも投げてて感じました」

ただ、粘っていればいいこともある。球持ちの良さで相手を差し込んでいると、打線が2回、3回、5回と立て続けに援護してくれた。5回4失点。自身の内容には決して満足はいかずとも、勝利投手の権利を得ることができた。

プロ3年目。2年続けてソフトバンク和田の自主トレに参加させてもらった。危なかった。年末に地元の札幌市へ帰省。ところが年始早々の大雪などの影響で、新千歳空港が大混乱に。発着便に大きな乱れが生じ「何とかキャンセル待ちで東京に戻ることができました」と、無事に自主トレ始動に間に合った経緯を明かしていた。

この日もスタート早々の大荒れ模様で心配させたが、粘って粘って、何とか幸運をたぐり寄せた。思えば昨年のプロ初勝利も、打線の大量援護を受けながらチームの開幕5連敗を止める投球だった。

「自分の立場上、多くチャンスをもらえるところではないので、こういうチャンスをしっかりものにできれば良かったんですけど、今日も…みたいな」

反省の弁を口にしながら、次のチャンスへと修正を進める。派手な球こそないが、気付くと打たせて取って試合を進めているのが真骨頂。同じ北海道出身の河村と同じように、運もなかなか強い。【金子真仁】

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