阪神大山悠輔内野手(27)が1発4打点の大活躍で交流戦のミラクル初Vに望みをつないだ。「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦で初回に先制打を放つと、5回は特大の中押し14号3ランを京セラドーム大阪の左翼5階席へ。交流戦7本塁打&19打点は堂々の2冠で、10勝中5度の勝利打点を稼ぐ驚異の勝負強さだ。11日は昨季のMVP右腕山本と対戦。奇跡を信じて最下位の虎が牙をむく。

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グッと待った。大山にはチェンジアップがしっかり見えていた。インパクトの直後、スタンドインを確信し、心地よさそうにフォロースルーを決めた。2点リードの5回2死一、三塁。マウンドで悔しさを抑え切れない山崎福を横目に、ゆっくりと走りだした。

「手応えはあったし、自分のスイングができました」。5点差に広げ、試合を決定づける推定130メートルの14号3ラン。放物線は京セラドーム大阪5階席に到達した。ベンチでは、ファンから募集した黄色いダルマ仕様の新作「虎メダル」をかけられ笑顔、笑顔だ。

布石があった。初回は148キロを右翼線へ適時二塁打。2試合連続完封負けしていたチームに、22イニングぶりの得点をもたらした。すると4回は全7球が変化球。90キロ台スローカーブも交えられ、116キロで見逃し三振に終わっていた。

「しっかり話し合いとか(頭を)整理して打席に入れている」。特大弾は高め123キロを仕留めたもの。ベンチでの時間を修正にあてる。その繰り返しがあるから同じ手は通用しない。

交流戦7発、19打点でキングを独走。チーム10勝中の半分を稼ぐ勝利打点5お断トツだ。“3冠”に躍り出たことで、球団初の交流戦MVPも現実味を帯びてきた。そのMVPを争う青柳の登板時は今季、打率4割2分9厘、4本塁打、12打点。エースと主砲が好相性とくれば怖いものはない。「練習でもセンター方向に返しているのが結果につながっている。3ランばっかりやもんな」。矢野監督は直近6発のうち3発が3ランの勝負さをたたえた。

大山 僕がどうこうよりもチーム全員で勝ち取っている勝利。誰か1人が別の方向にいったらうまくいかないので、そういう意味ではみんながしっかりやれている証拠だと思う。それでも反省する点はたくさんあるので油断しないように。

4打点でも浮かれることはない。関西ダービー初戦を快勝して、交流初優勝へかすかな望みをつないだ。11日の第2ラウンドは昨季のMVP右腕、エース山本との対戦だ。指揮官は「一番いい投手を打ち崩せたら、波に乗れると思う」と腕ぶした。山本と大山は意外にも公式戦では初対戦。背番号3が虎の意地を見せる。【中野椋】

▼阪神大山が決勝打を放ち、今季の勝利打点がチーム最多の6になった。そのうち5が交流戦で、球団では05年今岡、06年シーツ、13年マートンと並び最多となった。交流戦での最多勝利打点は05年村田(横浜)ら4人の7。交流戦は05、06年は36試合制で、18試合制となった15年以降では17年柳田(ソフトバンク)の6が最多。大山の勝利打点5は、18試合制では際立って多く、残り2試合で柳田を抜く可能性もある。

▼大山は交流戦での打点も19でトップ。阪神の選手が交流戦で打点1位になれば、05年今岡(40打点)、08年金本(29打点)に次ぎ3人目。本塁打1位になれば阪神初になる。

▼今季の大山は走者を置いた場面での本塁打が目立つ。特に3ランはこの日で4本目(ソロ6本、2ラン4本)。19年に並び自己最多だ。昨季は21本塁打のうちソロが10本、2ランが9本で、3ランは2本だけだった(20年に満塁本塁打2本あり)。今季は80試合を残しており、さらに3ラン量産の期待がかかる。

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