その武骨な風貌は、いかにも山賊らしい。西武川越誠司外野手(29)が殊勲の勝ち越し打を放った。2-2の同点に追いつき、なおも6回2死一、二塁。日本ハム河野の144キロ直球を右翼フェンス直撃の2点適時二塁打とした。

8試合ぶりスタメンに応えた。「最近は打てていなくて、もやもやしていたけど、すっきりしました」。新庄監督の8連勝を強奪し、自軍の白星とした。「テレビで見ていた人が相手の監督とはちょっと不思議な感じ」。札幌・豊平区出身。実家は札幌ドームから「車で20分くらい」という。投手で入団も、野手転向4年目。地元凱旋(がいせん)打でもあった。

口元、あごにはひげを蓄える。「ただそるのがめんどくさいので」と笑う。1年前からは「長いと邪魔なので」と短いパンチパーマがトレードマーク。もともとは丸刈りだったが「飽きた」ことで、新たな髪形を模索し、「カッコイイな」とたどり着いた。そんな漢(おとこ)。最高の場面で仕事を遂行した。

9回はサヨナラのピンチだった。1点差とされ、なおも2死満塁。マウンドにいる増田の代役守護神・平良も“パンチ仲間”だ。「同じ髪形にしたいです」とお願いされた。断る理由はない。いつものお店に連れて行き、一緒に短めのパンチパーマに。札幌への移動日、15日の出来事だ。平良の158キロ直球は野村にはじき返されたが、川越がしっかりキャッチした。

辻監督も「やっぱり川越の一打が大きかった」と活躍をたたえた。首位ソフトバンクが負けず、昨年4月6日以来の単独首位こそお預けになったが、貯金は再び今季最多タイの7に戻った。【上田悠太】

◆川越誠司(かわごえ・せいじ)1993年(平5)6月30日、北海道札幌市生まれ。北海では3年春にセンバツ出場。北海学園大では1年春から4番で、2年秋から投手兼務。15年ドラフト2位で投手として西武入団。投手では1軍登板がなく、19年から野手転向。20年6月23日ソフトバンク戦でプロ初出場。174センチ、80キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。

▽西武外崎(3安打の活躍) 今は右投手に苦労することが多く、平石打撃コーチと取り組んできた成果を出せたゲームだった。またあらためて勝つことの難しさを感じた。

▽西武ジャンセン(6回、同点となる右犠飛) 甘い球が来たら絶対に打ってやろうと思っていたんだ。同点に追いつくことができてよかったよ!

○…平井克典投手が5回を4安打2失点で5勝目をマークした。4四球など調子が悪く、得意のスライダーも思うように決まらなかったが、何とか初回の2失点だけにまとめた。6回に味方が逆転し、黒星が消えただけでなく白星が付いた。「いいリズムも生み出せず、反省点の多い内容。つないでくれた野手の皆さんにも感謝です」と頭を下げた。

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