マイクを渡されたロッテ茶谷健太内野手(24)は、固まっていた。初のお立ち台。「緊張してます」。直立不動で声を出した。

3回にプロ初二塁打、4回にプロ初打点、8回にはプロ初三塁打で、試合前までは通算8安打だったプロ7年目が、気がつけばサイクル安打の1歩手前。三塁守備でもチームを助けた。

インタビューが進み、少しずつ和らぐ。「今まで全くチームに貢献できなかったんですけど、今日は少しはできたのかなと思います」。ソフトバンクの育成契約打診を断り、ロッテにやって来たのが18年オフのこと。20年には内野控えで1軍に多く帯同したが、昨季は出だしで失敗した。石垣島キャンプ初日に、足の故障でリタイア。秋の契約更改でも言葉は重かった。

「初日にやるのは正直、周りから見ても良くないと思うので…。何もしてきてないと思われても仕方ないのかなと思いながら、リハビリをやっていました」

それでも夏場に2軍戦に復帰すると、長打も増えていた。今季もイースタン・リーグでの好調ぶりを買われての1軍昇格。井口資仁監督(47)は「まだまだゲームとしてやらなくちゃいけないことはいっぱいある」としつつ「しっかりとコンタクトできるようになってきたのはあります」と成長を認める。

スタメン起用もこれで12試合目だ。三塁安田が右肩痛でスローイングを控える状況にある中で、巡ってきたチャンスに日々、向き合っている。

「雰囲気はいいと思います。明日もまた全員で勝てるように。前半戦ラストということで勝って終わりたいので、ご声援よろしくお願いします」

お立ち台では左手にマイクを握り、最後まで直立不動だった。井上、レアードの“ごっちゃしずし弾”が握られたこの日。サイクル安打で“あがり”とはいかなかったものの、茶柱が立ったかのように、ロッテに幸運の流れをもたらした。【金子真仁】

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