日本ハム今川優馬外野手(25)が“謝罪決勝打”を放った。ロッテ16回戦(ZOZOマリン)の3回に試合を決める2点中越え適時二塁打をマークした。直前にエンドランのサインで空振りした失敗を一振りで取り返してみせたが、二塁塁上では両手を合わせて“ごめんなさい”。ヒーローは試合後も反省に明け暮れたが、チームを勝利に導く一打を放ったのは気落ちせずに名誉挽回した今川だった。

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今川は殺気立っていた。「本当に死ぬ気で打ちにいきました」。3回2死二、三塁の場面。ロッテ小島が投じたスライダーに食らい付いた。打球は前進守備だった中堅手の頭を越えた。決勝2点適時二塁打。それでも、二塁塁上で笑顔はなかった。三塁側の日本ハムベンチへ向かって、両手を合わせて“ごめんなさいポーズ”。「本当にすみませんでしたという思いでした」。理由は直前で作戦遂行を失敗していたからだ。

打席に入った時は3回1死満塁の場面だった。カウント2-1からの4球目。サインはエンドラン。満塁の場面では超異例の作戦だが、BIGBOSSなら「なんか出そうな雰囲気はあったので、準備はしていました」。134キロのカットボールが内角へ。バットを出したが、空振り。「僕の技術不足です」と、三塁走者の中島が盗塁死となってしまった。

少しだけ打席から外れて、反省しながら心を落ち着かせた。「いつもだったら引きずって三振とか、あまり良くない結果が続くことが今まであった。引きずらないのは100%無理でしたけど、何とかって感じでした」。もう1度、心を奮い立たせて次の5球目を仕留めた。新庄監督も「あの空振りがあったから、もっと集中して左中間に打てた…って思うようにしました」と苦笑いで振り返った。

だから、試合後も“謝罪”は続いた。「本当たくさん申し訳ないなと。本当ごめんなさいという感じでした」。1度は納得しかけたBIGBOSSも、8回にエンドランを決めた近藤を引き合いに「ダメです。あそこは、やっぱり決めて1点でも。近藤くんはしっかりエンドラン、ライト線。あの辺ですかねぇ」と、注文した。もちろん今川も分かっている。「ああいう緊迫した場面でボスのサインを実行できないと、レギュラーは取れない。信頼もつかめない」と自分に言い聞かせて、球場を後にした。【木下大輔】

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