阪神矢野燿大監督(53)が15日、大阪市内の阪神電鉄本社で涙の退任会見を行った。4年目の22年シーズンは、キャンプイン前日に自ら今季限りで退任すると宣言。異例のシーズン開幕を迎えたが、セ・リーグ最長タイの開幕9連敗とどん底からスタートだった。それでも前半戦までに借金を完済。終盤は広島、ヤクルトとの3位争いを制し、4年連続でAクラス入りへ導いた。

-14日の神宮では矢野監督への惜別のエールも

矢野監督「もう、ほんとに感謝しかないですね。あのような形で送り出してもらえて、タイガースファンのみなさんも悔しい思いをしている中でね、やっていただけたことなので。ほんとに感謝しかなかったですし、応援団の方ですかね、『俺たちの野球を貫いた』っていう横断幕を出してもらえたのも、はっきり見えましたし。この4年間やってきたものが、選手たちにはもちろん、タイガースファンのみなさんにも届けられたものがあるのかなっていうのが実感させてもらえたメッセージだったんで、ほんとに感激、感謝しかなかったですね」

-4年前の就任会見では「超積極的」「諦めない」「ファンを喜ばせる」そういったスローガンがあった。4年間を振り返って

矢野監督「ファンの人を喜ばせるっていうところでは、やっぱり勝つっていうことがね、一番大事な部分でもありますし。リーグ優勝、日本一っていうのができてない、そういうところでは喜ばすっていうことができなかった部分もあったのかなと思いますけど。僕は監督就任させてもらう時に、今のプロ野球の魅力っていうのは、勝つことが一番喜んでもらえることだっていうのが、もちろん僕も理解している上で、そこにプラスアルファの何かが必要なんじゃないかなって思ってました。それは、例えば凡打でも全力疾走で走ろうぜっていう俺たちの野球の1つですけど、それを貫いた先に、子どもたちが全員ホームラン打てるわけでもないんで、でも凡打でも一塁までタイガースの選手みたいに走ろうぜって世界観が生まれれば、勝つことプラスアルファの感動であったり気持ちの共有であったり、魅力であったりっていうのが伝えられると思ってましたし。え~、勝つことにももちろんこだわるけど、そこのプラスアルファっていうのはずっと思い描いてやってきましたので、そうですね、そういうところを一緒にやれたっていうのは僕だけじゃなくてコーチ陣、スタッフ、裏方さん、みんな力合わせてやってこれたと思うので、その部分は全員で作り上げてこられたかなと思います」

-4年目のシーズンはあえて退路を断って。この1年はどのような思いで

矢野監督「辞めるっていう、退任を発表するという決断をすることを自分の中ですごく悩んで。でも選手たちにはうそをつきたくない、正直でありたい、そういう思いもあって。これは僕にとっても挑戦だったので、その時はチームにとっても僕にとってもいいという選択の中で退任を発表した訳ですけど、結果的にそれが開幕のスタートのつまずく原因になった可能性も、もちろんあるので。それは迷惑をかけてしまったというのは素直な部分ではあります。ただ、挑戦にはうまくいかないことがいっぱいあるので、今回の退任の発表をしてのシーズンを迎えるということは失敗だったのかもしれないですけど、それを選手たちが変えてくれたところがあったので。本当に最後、3位になってくれたというところで本当に選手たちに助けてもらいましたし、4年間伝えてきたことが、粘り、みんなで作ってきたチームが何かこういうということにつながっていたと思うので、自分としては今日は帰ってこないと思いながら1日1日を過ごしてきた今年だったので。まあ、そうですね、反省というかいろんな思いがありました」

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