ヤクルトが左腕ローテで“吉田殺し”を仕掛ける。

場所を京セラドーム大阪へ移し、1勝1分けで迎える「SMBC日本シリーズ2022」第3戦は高橋圭二投手(25)が先発する。第4戦以降は42歳石川雅規、ドラフト1位ルーキー山下輝(23)が先発の見込みで、中堅、ベテラン、若手の左腕3連投が予想される。昨年の日本シリーズでも、オリックス吉田正を対左投手では9打数1安打と封じたサウスポーの連投で、球団初の2年連続日本一をたぐり寄せる。

    ◇    ◇    ◇

延長12回引き分けの死闘から一夜明け、静けさが漂う神宮外苑のコブシ球場では、ヤクルトの左腕3人が黙々と練習を行った。

大阪での敵地3連戦で予想される先発左腕ローテは、順に高橋、石川、山下と同じ左投手でも三者三様。ルーキーにして、第5戦で日本シリーズデビューが見込まれる山下は「今日の練習も少しドキドキしながら練習しました。もう、持てる力を出し切るだけ。しっかり投げて勝ちに貢献したい」と登板を見据えた。

京セラドーム大阪で、無類の強さを発揮する吉田正を徹底マークする。神宮での2試合は、わずか1安打に封じた。5四球を与える一方で致命傷にすることなく、接戦を切り抜けてきた。高橋と石川は昨年の日本シリーズでも、ともに無安打に抑えている。高津監督は昨年と同じ対戦相手に「多少の参考はあるかもしれないですし、対戦相手は一緒ですけど、全く違う日本シリーズが始まるものだと僕は思っています」と、データを参考にしつつ、ルーキーの抜てきという“奇襲”を仕掛ける。

CSでの登板はなかった山下は、臨戦態勢は整えてきた。シート打撃で登板し「実戦感覚はそこそこある」。左打者に食い込み、右打者には逃げる軌道の新球「ワンシーム」に磨きを掛けてきた。昨年10月に左尺骨を疲労骨折し出遅れるも、デビュー2戦目の広島戦(9月30日)で初勝利を手にした。自信と信頼を勝ち取り「ぶっつけ本番もいいのかなと思います」と、ルーキーらしく怖いもの知らずで言い切った。

第2戦は3点追う土壇場の9回、2年目の内山壮が値千金の同点3ランで振り出しに戻した。チームは本拠地で負け知らずのまま敵地に乗り込む。山下は「持てる武器を全部出し切って抑えられるようにしたいと思います」と、先輩らの勢いも借りながらマウンドに立つ。【栗田成芳】

▼オリックス打線の今季公式戦での左右投手別成績は、対左投手の打率2割5分2厘が対右投手の2割4分4厘を上回っている。ただ、個別に見ると対左投手に課題もある。対左投手の本塁打生産率は吉田正が24・4打数に1本、杉本が49打数に1本と、右投手に比べてペースダウンとなる。

▼ヤクルト高橋は昨年<2>戦(京セラドーム大阪)でオリックスを完封し、吉田正を4打数無安打。石川も昨年<4>戦で吉田正を3打数無安打。ルーキー山下は1軍2試合とまだサンプルは少ないが、1軍で打者54人、2軍で94人に対し、右打者も含めて本塁打を1本も許していない。

【関連記事】ヤクルトニュース一覧>>