ソフトバンク新任の斉藤和巳1軍投手コーチ（44）、寺原隼人3軍投手コーチ（39）、清水将海4軍バッテリーコーチ（47）が1日、ペイペイドーム内で就任会見に臨んだ。斉藤コーチは現役引退した13年以来、10シーズンぶりに鷹のユニホームを着る。野球解説者として見てきた投手陣を「長所だらけ」と評価し、3年ぶりV奪回へ投手王国の再建に意欲を見せた。
◇ ◇ ◇
斉藤コーチは、高い能力を持ちながら、発揮し切れていない投手陣を歯がゆい思いで見ていた。「長所だらけやと思うけどね。お世辞抜きにしてもね。はたから見ていても。もう少し長所を出していければ、自ずと数字もある程度変化してくる」。選手たちの秘めた力を最大限引き出し、投手王国再建に意欲を見せた。
オリックスに最終戦で逆転優勝をさらわれた今季。ソフトバンク投手陣は12球団ワースト474与四球とはっきりした課題が出た。斉藤コーチは「トータル的に言えば、メンタルも含めてそれは技術なんで。メンタルと技術を離していたらいけない。よく言う心技体という言葉は、（実際は）ひとつ。1個1個が良くてもだめ。全部バランス良く持っていないとだめ」と、四球減に心技体一貫の重要性を説く。その上で「減らすことがすべてじゃない。勝つことがすべて。意味のある四球（の割合）を増やしていければ、自ずと勝つ確率は上がっていく」と持論を展開した。
エース千賀は海外フリーエージェント（FA）権を行使してのメジャー移籍が濃厚になった。「彼の穴はなかなか埋められないという言葉は使いたくないですね。立場的に。どうにかして埋めますし、埋めないといけないですし、埋まると思っています」と力強く言い切る。そのためにも「必ず試合の中では何度もピンチがある。ここという時に自分がイメージしたボールを投げられるように、日頃の時間を費やしているわけですから。そういう意識で365日、24時間、そういうイメージを持っておいてくれる選手を1人でも増やしたい」と、1人1人の意識改革を求めた。
古巣復帰は10年ぶり。「優勝できなかったわけですからね。今はやりの『アレ』を目指して頑張ります」。関西人らしく阪神岡田監督のフレーズも引用し、ちゃめっ気たっぷりにV奪回を誓った。【山本大地】
○…藤本監督が斉藤投手コーチに「厳しさ」注入を期待した。ペイペイドームでの秋季練習はこの日で打ち上げ。3日からの秋季キャンプで合流する新コーチに「試合は解説とかで見ているから、ほぼ選手もわかっていると思う。その中で厳しさをどんどん入れていってくれ、甘やかさないように、とは言ってます」と期待を込めた。
○…寺原3軍投手コーチは、18年以来5シーズンぶりの古巣復帰だ。19年にヤクルトで現役を引退し、独立リーグの北九州や琉球でコーチに就任。今季は北九州で兼任コーチとして現役復帰した。「独立リーグだと、環境的なものがNPB、ソフトバンクと大きな差がある。いい環境の中でできる選手たちがうらやましいと思う。しっかり成長できるよう、手助けしたい」と引き締めた。
○…清水4軍バッテリーコーチは、ロッテを経て17年以来、6シーズンぶりの復帰となった。ソフトバンクでは1～3軍コーチを経験。NPB初となる4軍での指導に向けて「話をいただいて、今ものすごくワクワクしております。新しく新設した4軍ということで、土台というところで、選手の底上げをしっかりやっていきたい」と目を輝かせた。
◆斉藤和巳（さいとう・かずみ）1977年（昭52）11月30日生まれ、京都府出身。南京都から95年ドラフト1位でダイエー（現ソフトバンク）入団。長身から投げ下ろす投球で頭角を現す。03年には20勝で日本一。同年から4年連続2桁勝利を挙げ、エースとして君臨する。右肩故障のため07年を最後に1軍戦登板なし。10年に支配下登録を外れ、コーチとしてチーム残留。復帰を目指したが、13年に断念し引退を決めた。通算150試合、79勝23敗、防御率3・33。最多勝と最優秀防御率各2度、勝率1位3度、最多奪三振1度、沢村賞2度。現役時代は192センチ、97キロ。右投げ右打ち。
◆寺原隼人（てらはら・はやと）1983年（昭58）10月9日生まれ、宮崎県出身。日南学園3年夏の甲子園で、当時の高校生最速158キロを計測。01年ドラフト1位でダイエー（現ソフトバンク）入団。07年にはトレードで横浜（現DeNA）移籍し、同年12勝を挙げる。08年は22セーブをマーク。11年オリックスへトレード移籍しこの年も12勝。13年ソフトバンクへFAで復帰。戦力外を経て19年ヤクルトへ移り、同年引退。通算303試合、73勝81敗23セーブ、防御率3・88。現役時代は179センチ、86キロ。右投げ右打ち。
◆清水将海（しみず・まさうみ）1975年（昭50）1月9日生まれ、群馬県出身。東京農大二から青学大を経て、96年ドラフト1位でロッテ入団。01年には自己最多の123試合出場。05年にトレードで中日移籍。さらに10年シーズン中に、ソフトバンクへトレードで移った。通算683試合、314安打、9本塁打、119打点。打率2割1分2厘。現役時代は181センチ、88キロ。右投げ右打ち。引退後はソフトバンクやロッテでコーチを務めた。
