ソフトバンクが、DeNAから国内フリーエージェント(FA)権を行使した嶺井博希捕手(31)を獲得することが13日、わかった。12日までに交渉を終え、推定4年総額3億円超の好条件でオファー。ソフトバンクの熱意に嶺井も移籍の意志を固めたもようで、正妻の甲斐拓也(30)に次ぐ捕手強化に成功した。日本ハムからFA宣言した近藤健介外野手(29)にも6年総額30億円超のオファーを出しており、ダブルどりで3年ぶりV奪回を目指す。

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ソフトバンクの熱意が実った。捕手層の強化を狙い、DeNAからFA宣言した嶺井の獲得調査を進めていた球団は、12日までに正式オファー。4年総額3億円超の大型契約を提示した。嶺井はDeNAから複数年契約を提示され、宣言残留も認められていた。9年間在籍したチームへの愛着も踏まえて熟考。だが、新天地で挑戦し、野球選手としての視野を広げ、さらにレベルアップしたい思いが、ソフトバンクへの移籍決断を後押ししたようだ。

今季のソフトバンクは正捕手として甲斐が主にマスクをかぶったが、新型コロナウイルス陽性判定による離脱もあり130試合の出場。代役で出場した海野や渡辺は1軍経験が少なく、甲斐が離脱した際の捕手層に課題を残した。また、甲斐は今季打率1割8分と苦戦。代打を送られる場面も多く、接戦での終盤を若手捕手に託す場面も少なくなかった。

嶺井は今季、自己最多の93試合に出場。勝負強い打撃とリード面の評価が高く、甲斐との併用も可能になる。1軍通算472試合出場と経験豊富で、抑え捕手としても安心して送り出せる。球団幹部が「ぜひ来てほしい」と期待を寄せていた嶺井の加入で、戦略のバリエーションも大きく広がることになりそうだ。

今季のソフトバンクは優勝マジックを1まで減らしながら、リーグ最終戦でオリックスに逆転優勝を許した。クライマックスシリーズでもオリックスに敗れ、12&13年以来9年ぶりに2年連続で日本一を逃した。

巻き返しに向けてフロントも補強に本腰を入れており、日本ハムから海外FA権を行使した近藤には、11日に6年総額30億円超のオファーを提示している。FA選手のダブル獲得が実現すれば、13年の中田賢一(中日)、鶴岡慎也(日本ハム)以来9年ぶり。常勝軍団復活へ、盤石の布陣を整える。

◆嶺井博希(みねい・ひろき)1991年(平3)6月4日生まれ、沖縄県出身。沖縄尚学では2年春のセンバツで1学年上の東浜(現ソフトバンク)とバッテリーを組み優勝。亜大時代には4年秋に明治神宮大会で優勝し、大学日本代表では正捕手。13年ドラフト3位でDeNA入団。プロ初安打は、球団史上初の新人で初安打がサヨナラ打だった。21年に自身初の開幕スタメン。今季はチーム最多の74試合でスタメンマスクをかぶった。175センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は2700万円。 

<ソフトバンクの1軍捕手争い>

甲斐 侍ジャパンにも選出される正捕手。今季は打率1割台と打撃に課題。

嶺井 今季チーム最多74試合で先発マスクをかぶったDeNAの“正捕手”。

海野 捕手として甲斐に次ぐ45試合に出場。藤本監督はリード面を評価。

渡辺 プロ初スタメンで2打席連発など打撃が武器。守備は経験不足が否めず。

谷川原 打力、走力に優れ、外野手としてもプレーするユーティリティー。

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