広島3連覇の二遊間、田中広輔内野手(33)と菊池涼介内野手(32)を育てたノックの名手が、新たな舞台で第2の「タナキク」育成に挑む。

今季限りで広島のコーチを退任した玉木朋孝氏(47)が、来季は台湾プロ野球の統一で2軍守備コーチに就任する。台湾は行ったこともない土地。現役時代に7年、コーチとして12年間在籍した広島を退団することになっても、国外に行くとは考えてもみなかった。それでも「周りから背中を押してもらった。なにより(コーチ候補として)自分の名前が出たことがありがたかった」と、オファーから2週間ほどで結論を出した。

同氏は広島、オリックスで内野手としてプレー。引退後の2011年からは広島で2軍守備走塁コーチ、15年からは1軍で同職を勤めた。2軍指導者時代に鍛え上げたのが、今年10年連続ゴールデングラブ賞を受賞した菊池と、田中の二遊間コンビだ。2人は1軍定着後16年からのリーグ3連覇に貢献。玉木氏は「みんなは3連覇したときが心に残っているかもしれないが、自分は2軍コーチの時に育ててきた菊池や田中(広輔)が戦力として活躍している姿を見ることが出来た(最初の)2016年がうれしかった」と話す。台湾でも2軍が持ち場。「1軍で活躍してくれたらうれしいことなのでそこにつながるように」と、広島での経験を生かす。

契約が決まった直後には、オリックス時代のチームメートで、昨年から台湾・中信兄弟の打撃内野総括コーチを務める平野恵一氏(43)から連絡があった。「気候とかいろいろ教えてくれた。心強い」。何歳になっても変わらない野球愛。「話をもらったとき、自然と燃えた。自分が(国外でも野球に)携える人間なんだと発見できた。野球人として年齢関係なくやっていく、やってやるぞという気持ち」と、新天地で再スタートを切る。【星夏穂】

◆玉木朋孝(たまき・ともたか)1975年(昭50)6月13日生まれ。東京都江戸川区出身。修徳高から94年に広島ドラフト3位で入団。00年オフに自由契約となり、オリックスに入団。05年に現役引退。翌年から広島のスコアラーを務め、11年に2軍守備・走塁コーチに就任。15年からは1軍守備・走塁コーチ。その後も1軍と2軍の同職を歴任し、今季限りで退団した。通算120試合出場、打率2割2分4厘、0本塁打、6打点。右投げ右打ち。