阪神岡田彰布監督(65)が、4日に5度目の命日を迎えた元中日、阪神、楽天監督の星野仙一氏(享年70)をしのんだ。同氏は就任1年目の02年オフに大胆な血の入れ替えを行い、翌03年に18年ぶりのリーグ優勝へ導いた。岡田監督は同年に内野守備走塁コーチとして、間近で勝利への執念を感じた。自身も指揮官として05年にリーグ制覇。黄金時代の再来へ、若いチームに勝つ意識を植え付ける。

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暗黒時代から勝てるチームへとタイガースを劇的に変えた男だった。岡田監督は星野氏について「勝つというか、そういう意識はすごかったけどな。勝つ意識を植え付けるというかな。そういう感覚はすごくあったけどな。そらめっちゃ負けてるからや」と、当時を思い出した。

阪神は85年に初の日本一に輝いたが、その後、長い暗黒時代が続いた。02年に星野監督が就任するまでに10度の最下位。前任の野村監督から4年連続最下位のチームを引き継いだ。岡田監督は「暗黒のチームやったからな。20何人の(血の)入れ替えとかもあったからな」と振り返る。1年目、4位に終わった星野監督は負け癖がついたぬるま湯のチームを変えるため、大幅に選手を入れ替えた。星野、葛西らベテランが引退、人気選手の坪井をトレードに出すなど外国人も含めて24人が退団。広島からFA補強で金本を獲得。メジャー帰りの伊良部、トレードで下柳、野口らを大型補強した。

チームを一新した03年キャンプイン前日に星野監督が全員ミーティングで「勝ちたいんや」と熱く伝え、その年の流行語にもなった。その言葉通り18年ぶりのリーグ優勝を飾った。体調面もあり、その年限りで勇退。当時内野守備走塁コーチだった岡田監督が後任に指名された。岡田監督が「(当時は)大人のチームやから」と話す完成されたチームに鳥谷ら若手を加え05年に再びリーグを制した。

「現時点では生え抜きというか、ちょっとやり方は違うけどな」と、岡田監督が今回引き受けたチームは当時とは状況が違う。近本、大山、佐藤輝、梅野とドラフト指名した選手がレギュラーを固める。強力投手陣も含め、チーム全体が若く、伸びしろがある。秋季キャンプから細かく岡田野球を伝えてきた。指揮官が「アレ(=優勝)」という言葉に込めた勝つ意識は星野氏に負けてはいない。勝てるチームに育て上げ、再び黄金時代を築く。【石橋隆雄】

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