西武ボー・タカハシ投手(26)が頭を下げた。すると今度は、臨時コーチでやって来た松坂大輔氏(42)に、逆に頭を下げられた。再び自分からペコリ。さらに-。御礼が3往復。11日、南郷キャンプの1シーン。助っ人右腕には至福の時間になった。

97年1月にブラジル・サンパウロ州で生まれた。サッカー王国で野球が好きになった少年にとって、地球の裏側で活躍する「ダイスケ・マツザカ」は憧れの存在だった。

「ブラジルの野球っていうのは、日系人から始まったっていうか、日系人が広めてきたわけじゃないですか。松坂さんが西武にいた時に、私の親戚が日本で働いていて、その方が私に松坂さんのビデオとかを送ってきてくれて、それを見て大好きになりました」

臨時コーチ就任の報に興奮した。

「ボストンでも投げていた時もすごく、本当に大好きな選手で、その時からもういつか絶対会いたいとか思ってました」

そんな人が、打撃ケージの後ろで自分の投球を見ている-。投げ終えると、通訳とともにあいさつへ。アドバイスをお願いした。この日、南郷キャンプを訪れたのは3000人。大勢がスタンドから見守る中、足を中心に投球動作についてのアドバイスを受けた。

「あのスーパースターである松坂さんからアドバイス受けたってことは、自分にとってすごくうれしいです。もっともっと頑張らなくちゃいけないな、っていう動機付けにもなりました」

あまりにうれしくて、何度も頭を下げた。顔を上げるたび、その人がいた。約1万7000キロのかなたにいた憧れの存在が、目の前で笑っていた。【金子真仁】

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