たくましくなった西武大曲錬投手(24)が、2年前の自分に勝った。

2点リードの最終回、懐かしのマウンドに上がる。先頭のロッテ福田光を落ちる球で空振り三振にした。フッとひと息つく。

21年2月28日、春野での練習試合ロッテ戦で1軍デビューした。6回にマウンドに上がり、アウトを1つしか取れずに4失点。制球が定まらなかった。

「一番覚えていることですか? 頭、真っ白になってたことです」

笑って振り返る。B班キャンプを春野で過ごし、練習試合でやって来たA班にそのまま合流した。

「あれが自分のデビュー戦でした。B班キャンプから残留でのA班合流だったので、周りの皆さんのことをよく分からない状況もあって、1軍と2軍の雰囲気の差もあって。『うわっ、すごっ』と圧倒されました」

準硬式野球部出身の異色さが話題になっていた。注目のマウンドでストライクも取れず、周りも見えず、時間だけが過ぎていく。後悔する。

「いま思えば、あそこをもうちょっとちゃんとしておけば」

2年が過ぎた。ペナントでの1軍デビューも果たした。「野球のこと、考える時間が増えましたね。意識することが」。7番植田の強いゴロが飛んできて、グラブに当てる。慌てず拾い、一塁へ送球する。真っ白だった当時とは違う。

「1軍にはずっといたいです。行ったり来たりするような選手じゃなくて、勝ちパターンまで行けたらいいなって。平良も先発に回ったので」

最後は池田に151キロ直球を投げ込み、空振り三振を奪った。悪夢をぬぐい去ったプロ3年目、期待が膨らむ。【金子真仁】

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