ヤクルト青木宣親外野手(41)が2打数2安打で貫禄を見せた。1番指名打者でスタメン出場。0-3で迎えた初回、楽天早川が投じた外角高めの135キロ直球を左前打とし、この回の逆転の起点となった。2回も先頭で打席に立ち、早川の141キロ内角高めの直球を再び左前打に。4番内山の左前打で5点目のホームを踏んだ。

「しっかりバットをインサイドから出すことを意識した。下半身からの連動で最後にバットに力が伝わるようにも意識した」。自主トレから取り組んできた課題が実を結びつつある。

山田、中村、高橋、村上とWBC組が16日に抜け、若手中心のキャンプに。その中で青木は第4クールの開始時、「声を出していこう」とチームにひとつカツを入れた。「野手で言うと3人がいないだけで全く違う感じになった気がしました。ここ何年かはそういうことは言わないようにしていた。(山田)哲人以下がそういうことをやらないといけないと思うし。でも彼らが抜けたので、そういう時の自分でもあるし、みんなで盛り上げようと思った」と意図を語った。

プロ20年目の節目。オープン戦が始まるのと同時に調子を上げてきた。23日巨人戦では3打数1安打。そしてこの日、2打数2安打。打撃力を買われ捕手と外野手を兼務する内山ら若手も調子を上げており、外野手争いの競争も激化しているが、青木は達観していた。

「争いという意識は本当にないんですよね。チームに貢献することが自分のやりたいことなので。若手が育ってくれるのはすごくうれしい。でも当然、自分もアスリートなので試合にはたくさん出たい。矛盾しているかもしれませんが、そういう気持ちです」

メジャーからヤクルトに戻った18年からこのようなメンタルになった。今年、球界最年長野手になり、その視野はさらに広がった。青木という大きな器があるからこそ、若手がのびのびと成長できる素地がヤクルトにはある。【三須一紀】

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