一塁を回ったところで右手を勢いよく上げ、両手を上げ、締めに右手を振り下ろした。西武児玉亮涼内野手(24)が勝ち越し適時打を放ち、全身で表現した。

難関のオリックス山本をマウンドから下ろした8回2死満塁。児玉はネクスト・バッタースボックスにいる時から練っていた。

「フォークがいいのも分かっていましたけど、前の打者が四球。ランナーが三塁にいて、フォークも投げにくい部分もあるかな」

遊撃守備同様の落ち着きぶり。直球一本に絞り、始動をやや早めにコンパクトに。三遊間を割った。

ドラフト6位ルーキーは、離脱中の源田に代わって遊撃を任される。一時は打率が3割台に乗っていたものの、4月13日の第2打席以降、19打席連続で安打がなかった。移動ゲームも増え、疲れも蓄積してくる。前日21日、詰まりながらも久々の安打。「フルカウントまで粘って。本当にそういうヒットが今後大事になってくると思うので」。この日は5回、オリックス山本からも安打。必死に堅実に、本来へ戻そうと努めている。

適時打の場面。9番児玉に対して、松井稼頭央監督(47)は「代打? そこは考えてなかったですね」と即答した。「速球への強さはもちろんあると思うし、思いきりも非常にいい打者ですからね」。努力と結果で得た信頼を、さらに深める。まだ18試合を消化したに過ぎないペナントで、この仕事ぶり。選手層が厚くなっていく。【金子真仁】

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