借金2の西武は、まだまだここからだ。

源田壮亮内野手(30)が13日、リハビリ開始後初めて、ついに投手の生きた球を打った。「めちゃくちゃ前進です」と声も弾んだ。

十数人の獅子党も気付き、室内練習場のファンデッキから見守る。ユニホームを着て、ヘルメットをかぶり、源田が打席に入る。

渡辺勇太朗投手(22)の球は投球練習時から144キロ、145キロが多かった。源田はボール球を選びつつ、ストライクはしっかりとスイング。最初はファウルだった打球も、徐々にフェアゾーンへ。6スイングし、安打性もあった。引っ張った打球も1球あった。

最大の焦点は、骨折した右手小指への衝撃度だ。

「思ったより、衝撃は大丈夫そうでした」

ルーキーの野村和輝内野手(19)と交互に4打席に立った。スイング後、練習後、目立って患部を気にする様子はなかった。徐々に上げてきた強度が、新たな段階に来た。「今日初めて、あそこまでのスピードの球を打ったんで。手もどうかな、っていうのは気にしつつでしたけど」

WBC1次ラウンドの走塁で右手小指を骨折した。一時離脱後、骨折をおして試合に出場し、歓喜の金メダルを手に入れた。3月末に西武に合流し、リハビリを進めてきた。

投手の生きた球を打つのは、WBC決勝以来、52日ぶり。「本当に久しぶりだったんで、やっぱ速く感じましたし。投手の球、いっぱい見ていかないと」としつつ、冒頭の「めちゃくちゃ前進です」の声色は、希望に満ちていた。

この日のシート打撃では、右手には鮮やかなピンク色のリストガードを付けた。グリップがピンクのバットも持っていた。

「このバットは明日試合で使う分で作ってもらったんですけど。練習でしか使うところないんで…」

5月14日、母の日。特別に準備したバットは、今年は大勢のファンやカメラの前でお披露目できず、苦笑いで少し寂しそう。14日のファーム練習ではしっかり振る予定だ。

源田の言う「めちゃくちゃ前進」をへて、見えてくるものもある。「焦ってまた(同じケガを)やってもそれはダメなので」とリカバリー具合も含め、慎重に見極める。見極めながら、この後も順調に進めば、いよいよ実戦復帰の日を探る作業も必要になってくる。

「ちゃんとプレーできるようになってから、上に行けるように」

5月中か、はたまた6月になるか-。まだリハビリは完全に終わってはいないが、キャプテンは至って明るく元気だ。【金子真仁】

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