今年は無失点&球宴最速更新だ! ロッテ佐々木朗希投手(21)が28日、「マイナビオールスターゲーム2023」ファン投票パ・リーグ先発投手部門で35万561票を獲得して1位となり、2年連続2度目の選出となった。2位の山本由伸投手(24)とはわずか3088票差、3位の宮城大弥投手(21)は9万340票差をつけ、オリックス勢に逃げ勝った。「たくさんの方から投票していただいて、すごくうれしいですし、光栄に思います。まず、ケガなくその日を迎えて。去年は点をとられてしまったので、今年はしっかり抑えられるように頑張りたいと思います」。ファンへの感謝の気持ちを真っ先に言葉にした。

ファン投票1位で初出場した昨年は、7月27日の第2戦(坊っちゃんスタジアム)で先発登板した。高卒新人捕手で初選出だった松川虎生(19)とのロッテバッテリーだった。1死後、巨人ウォーカーに中前安打を許した3球目に162キロをマーク。14年に日本ハム大谷翔平(現エンゼルス)が記録した球宴での日本人最速タイを記録した。続くヤクルト山田に右前打、ヤクルト村上には中前打を喫して1死満塁。阪神の佐藤輝には左犠飛を浴びるなど、1回23球3安打1失点の球宴デビューだった。

23球中、21球が直球。フォーク1球、カーブが1球。「去年はストレートを投げすぎたので、今年はしっかり抑えにいこうと思います」。フォークやスライダーを交えながら、WBCやペナントレース同様の投球を貫く構えだ。

球速は、今季は165キロを6球マーク(シーズン5球、侍ジャパン強化試合1球)しており、21年ビエイラ(巨人)の球宴史上最速163キロ超えも驚きではない。「いつも狙って投げているわけではないので、良いコンディションで迎えて、いつも通りに投げられたらなと思っています」。三振を奪えば球宴初となるが、「セ・リーグの良いバッターがたくさんいるので難しいとは思うので、いつも通り。まあ、ゼロに抑えることが。その中で1打席1打席、良い勝負が出来たら」と意気込んだ。

数々の賞を狙う気持ちを報道陣から問われると「たぶん獲れないと思うので」と笑顔も浮かべた。「気負わず、結果的に獲れたらラッキーかなと。それくらいですね」。本人の自覚以上に“平常運転”がファンの心を魅了し、結果を導く。

12年、東日本大震災復興支援を目的に岩手県営野球場で開催されたオールスター第3戦。小学校5年生だった佐々木朗はスタンドで観戦した。あれから11年が経ち、2年連続で夢を与える側に立った。「他の選手の対決を間近で見られるので。あとはパ・リーグのピッチャーを味方で見られたりだとか。いろんな選手と交流したりだとか」。ワクワクする気持ちは、あの時以上なのかもしれない。

最速165キロ右腕が強調する「いつも通り」の姿が、一番の輝きを放つ佐々木朗希だ。【鎌田直秀】