甲子園での不敗神話が崩れた。粘投を続けた先発伊藤将司投手(27)は勝ち越し打を許すと、がっくりと肩を落とした。

代打川端と対峙(たいじ)した、同点の7回2死満塁。カウント1ストライクからの2球目。138キロ変化球を捉えた打球は自らの足元を抜けていった。

「甘い球をしっかりセンターに返されたので。やられたなと思います」。痛恨の中前適時打で2点を献上し、表情に悔しさをにじませながらの降板。7回5安打3失点で、今季3敗目を喫した。

打撃陣が1点差を追いついた直後のイニングだった。先頭の4番村上に左越え二塁打を許したが、その後2者連続凡退に打ち取り2死三塁。だが直後の長岡に2ストライクから死球を与えてしまう。「あそこは攻めた結果。その後は切り替えて次のバッターと勝負しようと投げていました」。

だが続く中村にも四球を与え2死満塁。勝負を避けられない場面での、代打の切り札川端との対戦になってしまった。

「4度目の正直」がかかった一戦だった。ルーキーイヤーの21年9月1日中日戦から、甲子園では負けなし。勝利投手になれば、71年村山実に並ぶ甲子園12連勝の記録がかかっていた。今季甲子園での登板は、4戦全てでクオリティースタート(QS=6回以上、自責点3以内)を達成。だが4月27日巨人戦で勝利して以降は3試合連続で勝ち負けがついておらず、4度目の挑戦だった。52年ぶりの大記録に1歩及ばず「残念です」と球場を後にした。

それでも、甲子園での通算成績は13勝4敗。この日も「(状態は)悪くなかったと思います」と、大声援を味方に今季10度目のQSを達成した。得意のホームで、次は白星をつかむ。【波部俊之介】

▼阪神伊藤将の甲子園連勝が11でストップした。ルーキーイヤーの21年7月10日巨人戦を最後に甲子園では黒星がなく、昨季は11試合で7勝負けなし。今季も甲子園では1勝を挙げており、5試合目での黒星となった。阪神投手が甲子園12連勝となれば、70~71年村山実以来、52年ぶりだったが逃した。

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