日本ハム万波中正外野手(23)が4番の責務を果たして、チームに22日ぶりの勝利をもたらした。

楽天戦の同点9回1死一、三塁で、三遊間への決勝適時内野安打を放った。泥くさく大きな1点をもぎ取って、84年に記録した球団ワースト14連敗目前の「13」で大型連敗に終止符を打った。大きなプレッシャーをはね返した“新時代の4番”が、連敗街道に迷い込んでいたチームを救った。

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万波の心臓は激しく鼓動していた。「打たないといけない」というプレッシャーがあった。同時に「連敗を自分の手で止めたい」という思いもあった。せめぎ合う胸中の一方、頭の中では「どんな形でもいい。サードランナーをかえせるように」と考え、狙い球を絞って打席へ向かった。

初球は直球を見逃した。変化球攻めを予想していた。「あそこはバッテリーもミスできない状況なので、慎重にくると思っていた。そもそも今日は真っすぐが少なかったので、そういうのも含めて、ここは変化球だろうと感じていった」。2球目も変化球を待っていたが、再び直球。差し込まれて見逃した。「完全に裏をかかれて、ヤバいと思っていた」。腹をくくった。

3球目はスライダー。外角へ逃げていくボールに食らい付いてファウルとなった。「とにかくバットに当てて何か起きてくれ、と。追い込まれてからは、そんな気持ちでした」。4球目のボールゾーンのスライダーは冷静に見逃してカウント1-2となった。

徐々に心も高ぶった。「昨日、いい場面でやられていた悔しさもあったので」。25日は1点を追う8回2死一塁で中飛。これが唯一の凡退した打席だった。「8回の打席みたいなところでホームランを打てるようにならないと接戦は勝てない」と語った24時間前の思いも乗せて、5球目をなんとかバットに当てた。

打球を見て、少しホッとした。「(バットへの)引っかかり方的に(打球は)三遊間にいったなと思った。あとは抜けるか、抜けないかという感じかなと思いながら(走った)」。無事に代走江越が生還した。

4番として一皮むけそうな泥くさい決勝打。「これからチームとして流れに乗っていけるように、まずは明日1勝っていう気持ちで頑張ります」。勝利につながる打撃を続けていく。【木下大輔】