日本ハム伊藤大海投手(25)が39日ぶりの白星となる今季6勝目(6敗)を挙げた。天敵のソフトバンク近藤を完璧に封じ込めるなど、気迫あふれる投球で7回6安打無失点。打線の援護も受けて、負のスパイラルから脱出した。周囲のアドバイスも聞き入れてフォームは昨季までの2段モーションに戻し、リズムとテンポも意識した快投で、苦しんでいた道産子右腕が復活ののろしを上げた。

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伊藤は初回から、ほえた。1回2死一塁で近藤を二ゴロに抑えると「シャーッ!」。気合が、あふれ出た。試合前まで近藤には被打率4割1分7厘。4回先頭で中飛に抑えた時も叫び、6回2死二塁の場面で空振り三振を奪うとガッツポーズ。天敵を3打数無安打に抑えたことについては「もちろん、そうですね」と多くは語らずも、この日の快投の軸は近藤封じだった。

投球フォームの修正も快投の土台にあった。直近2試合は5回も持たずに降板。建山投手コーチとボールの出どころが見えにくいフォームを追求し、昨季までと同じ2段モーションに修正した。「自分の中で、しっくりくる形ではある。毎日、体が万全なわけではない。いろんな(体調の)エラーがある中で1年間戦っていかなきゃいけない」と、現状に合う投げ方で今季最速の153キロも計測した。

リズムとテンポも快投のアクセントになった。ヒントは上沢との会話から。「こないだ、上沢さんがチラッと『先発投手はリズムゲームをやっている感覚で“音ハメ”していく』みたいなことを言っていた。すごい今日は体現できた」。的確に「“イケイケどんどん”で」と心地よいリズムを刻んで快投劇が進んだ。

もう1つ意識したのは「今日、山田コーチから『トライがどういう意図でボールを要求しているのか、もっと考えたらリズムも良くなる』と、お話があった」という助言。バッテリー間の“アンサンブル”も見事に決まり、自然とテンポよくゲームメークできた。

この投球を続けたい。「たかが1回、いいピッチングをしただけ」と気を引き締めた伊藤なら、続けられるはずだ。【木下大輔】

 

▽日本ハム新庄監督(6勝目の伊藤に)「言ったでしょ、今日いいピッチングするって(笑い)。いいピッチャーだから修正してくるタイミングなので。伊藤君のテンポも良かった。いつも言うように、テンポが良かったら点数は入る」

▽日本ハム建山投手コーチ(伊藤について)「ボールが見やすくなっている傾向があったので、そこは意識してやろうかということで。立ち上がりから飛ばしていたと思うんですけど、まあ良かったです」

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