ロッテの沢田圭佑投手(29)が、オリックス時代の19年5月2日以来、1563日ぶりの白星を挙げた。9回に4番手として登板し、1回を3者凡退に。同裏に荻野のサヨナラ中犠飛でチームが勝ち、勝利投手となった。

沢田は「勝つ、負けるはあまり気にしていないので、1イニングをしっかり投げきれたことが今日は一番良かった」と笑顔を見せた。「こういうところで投げるために日々練習しているので、打者と僕も勝負に集中して試合に入っていくことが出来た」。先頭のマキノンを150キロ直球で二飛。外崎は152キロ直球で遊ゴロに。最後は7回に2ランを放っている中村に全5球直球勝負を挑み、「1球目、2球目、3球目と良くなっていたので、絶対にいけると思って」と空振り三振を奪った。

昨年6月に右肘トミー・ジョン手術を受け、同オフにオリックスから戦力外通告を受けた。今オフにロッテと育成契約を結び、先月末に支配下登録されたばかりだ。「完璧なペースで進んでいました」とリハビリを順調に乗り越え、2度目の登板で新天地初勝利。「起きた瞬間から寝るまで野球のことを考えてきた。寝ている時も野球の夢が何回も出てくるような生活だった。それだけ野球への思いをリハビリにぶつけて自分と向き合ってきた。手術前は痛みで起きていたので、うなされるような感じなんですけれど、手術が終わってからは自分が全力で投げている試合が多くて…」。夢を現実にした充実感に満ちていた。

復活劇は、まだ始まりに過ぎない。「前のチーム(オリックス)が(2年連続で)優勝した時もまったく投げられていなかったのも大きくて、正直優勝2回しましたけれど、僕の中では1回も味わっていない。それを今年達成したい」。古巣を2位で追う状況に「絶対に勝ちたい」と闘志も燃やした。

励みになる存在は、大阪桐蔭時代に同級生だったオリオールズ藤浪晋太郎投手だ。高校時代は背番号10としてエースと2番手の関係だった。「毎回、『投げていたなあ』とかLINEを送ってくれます」。ともに新天地での挑戦が始まったばかり。「すごいなあと常に見ているので、彼の活躍を見て、日々、僕も頑張れています」。165キロの剛腕に負けじと、腕を振る覚悟だ。

オリックスでも勝利の方程式を担っていた右腕。沢村が病気で離脱するなど、6連戦が続いて苦しい夏場のリリーバー陣にとっても起爆剤となりそうだ。吉井監督も「通常よりも早く復帰しているので、かなりリハビリを頑張ったと思うので、きょう勝てて良かった」とたたえ、長所を問われると「投げっぷりですね」と即答。沢田も「まだまだいけると思います」と、リーグ優勝、日本一への新戦力に名乗りを上げた。【鎌田直秀】

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