広島末包昇大外野手(27)が3試合連続本塁打となる7号ソロを放ち、チームを4連勝に導いた。2戦ぶりに先発復帰した5回。巨人先発菅野の高め直球を右翼席最前列に放り込んだ。大事なシーズン終盤に、待望の大砲が覚醒モードに突入。巨人戦に限れば4戦連発と、Gキラーぶりも発揮した。チームは今月4度目の4連勝で貯金を今季最多15とし、首位阪神とのゲーム差を5とした。

   ◇   ◇   ◇

球界を代表する右腕の直球にも、力負けしなかった。1点リードの5回。巨人菅野に追い込まれながら、浮いた152キロに反応した。やや詰まらされながらもバットを振り抜いた飛球は高く上がり、そのまま右翼ポール際に吸い込まれた。前日の劇的な逆転3ランに続く、自身3戦連発でチームの勢いを加速させた。

「(菅野から)打ったことも自信になりますし、ボールを振らされないで、ゾーンに来た球をしっかり振れたのは良かった」

相手が右投手の試合では先発落ちすることも多かったが、この日は右の菅野でも起用され、その期待に応えた。今季7本塁打のうち、巨人戦で4本目。巨人戦に限れば19日から4試合連続本塁打で、計10打数5安打で打率5割、7打点と荒稼ぎだ。

18日まで16打席無安打となり、2軍降格の危機感を抱いていた。そのとき、1月に自主トレをともにしたカブス鈴木に連絡。打撃の土台をつくってくれた先輩からの「俺は今年、それが普通だから」と自虐を交えた励ましに背中を押された。「今、誠也さんも打っているので負けないように頑張りたい」。師弟はシンクロするように大事なシーズン終盤に状態を上げ、ともに上位争いするチームに貢献している。

右の大砲の覚醒モードは、阪神追い上げの大きな追い風となる。新井監督も「試合に出るたびに成長してますし、実戦の中で対応力も上がって、成長している。素晴らしいものを持っているので、どんどん吸収して大きく成長していってもらいたい」と目を細める。新たな力も加わり、首位阪神とのゲーム差は5。追走態勢は整った。【前原淳】

◆末包昇大(すえかね・しょうた)1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身。高松商-東洋大-大阪ガスを経て21年ドラフト6位で広島入団。昨季は打率2割9分9厘、2本塁打、14打点。年俸1300万円。。188センチ、112キロ。右投げ右打ち(金額は推定)。

 

○…西川が巨人菅野から先制打を放った。1回2死一塁から右中間を破る二塁打に、スタートを切っていた一塁走者が生還した。4回の左前打など6戦ぶりの3安打猛打賞。対菅野に通算打率3割8分7厘だった好相性を発揮した。「どんな投手でも打ちたいというのはあるので、あまり意識はしていないです」。DeNA宮崎が規定打席から外れ打率リーグトップにも「そんなこと意識してもどうせ落ちる」とクールに話した。

○…大瀬良は6回3安打4四球も無失点に抑えて、6勝目を手にした。立ち上がりから走者を背負い、1点リードの4回は2死満塁。菊池の好守で切り抜けると、その後は危なげなく投げ切った。「ちょっと四球も多かったですけど、野手に助けてもらいながら粘り強く投げられたかなと思います。気を抜くことなく、また次しっかりチームが勝てるように頑張りたい」。4月の以来の自身連勝でチームの連勝を伸ばした。

▽広島島内(8回の1イニングを0封し、リーグ単独トップの35ホールド)「継続して、自分のピッチングができるように心がけたいと思います」

▽広島菊池(5回2死満塁で菅野の打球を素手でつかみ、間一髪アウトにするなど再三の好守で貢献)「(打球が投手大瀬良)大地のグラブに当たっていなかったら、どうかなという思いもある。最善を尽くして、結果アウトになって良かった。接戦のときというのは、こういうことだと思う」