西武中村剛也内野手(40)が乗せるように、白球を右中間席に運んだ。

2点リードの3回2死二、三塁。見事な16号3ラン。プロ通算470号だった。

そして、日本ハムの新本拠地エスコンフィールドでの自身1号だった。

「エスコンで初めて打てて良かったです!」

コメントもいつになく(?)力強い。32打席目での1発だった。この球場を訪れるたび、ベンチからまず全景を見渡していた。

「きれいですよねー。芝生とか、ほんとに。打席に立っても別に変な感じはないし。あとは、今のところ相性悪いですけどね」

そう笑っていたのは8月上旬の遠征時のこと。ようやくの放物線で、これで公式戦では通算23球場目の“アーチ制覇”となる。現役1位は巨人坂本勇人内野手(34)の24球場。中村の記録はどこまで伸びるか。

高校通算83発をたたき出した大阪桐蔭時代は、藤井寺球場で「一番上の段まで飛びました」というほどの怪力を誇っていた。

「僕らの時、金属バットの全盛でしたね」

そう懐かしむ20余年前から、蓄えた技術と経験。「普段だとファウルになる球が前に飛んじゃうんですよ」と警戒する日本ハム加藤貴之投手(31)から4球ファウルを打ち、いつもと違うと思ったのか、最後は今季初の右中間弾で仕留める。充実の初エスコン弾だった。【金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧