いよいよオリたちの晴れ舞台や! オリックスがリーグ3連覇に王手をかけた。先発の東晃平投手(23)が7回1失点の好投で6勝目を挙げ、球団初のデビューから7連勝を達成した。2位ロッテとの2連戦初戦を制し、優勝へのマジックを「2」とした。20日の同戦に勝てば、3年連続15度目の優勝が決定。本拠地の京セラドーム大阪で、中嶋聡監督(54)が宙に舞う。

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降板が決まる。ベンチで中嶋監督から直接ねぎらわれた東は、笑顔でうなずいた。「緊張はありましたけど、勝てば王手とかは考えず、自分の投球に集中できました。流れを見て『いけるな』となりました」。

2-1の5回2死満塁。四死球に暴投と乱れたが、ここで強みを発揮した。体の開き、体重移動のタイミングがおかしいと気付き、マウンド上で左肩の意識を変えた。最後はスライダーを外角に制球して、山口を左飛に打ち取った。要所を嗅ぎ取る勝負強さが、ここまで勝ち星を積み重ねられる要因だ。デビューから7連勝は球団初の快挙。「名前が残るのはうれしいですね」と笑った。

初回から全開だった。自己最速を更新する155キロで、藤岡を見逃し三振。球数が100球に達しても球威が落ちない馬力も快進撃を支える。「入団時はこんなに出ると思わなかった。体重が増えて、筋トレをして、下半身の力が落ちなくなったのが大きい」。6年前から大変身を遂げた。

オリックス編成部門の「傑作」だ。神戸弘陵3年時は体重70キロを割りそうな細身。椎間板の骨折もあり、他球団はほとんど手を引いた。だがオリックスは早々に「体ができればモノになる」と判断していた。

成功への道のりも球団全体でのフォローがあったからだ。ドラフト直後、球団フロントと食事した際、なんと肉が好きでないことが判明した。せっかくの高級肉料理もほぼ食べられなかった。それでも寮で栄養士らの助言を受けながら体を作り、本格的なウエートトレにも取り組んだ。今年はついに入寮時の体重からプラス20キロにまで到達した。

支配下登録は5年目の昨年7月。今年ブレークした山下と同様に1、2軍の全スタッフが連携し、「旬」を見定めた。絶え間ない若手の台頭は、もはや他球団もうらやむ“お家芸”だ。

さあ、マジック2。中嶋監督は「勝ったら決まるのでマジック1のようなもの。しっかり決めたいと思います」と宣言した。勝てば初めて、地元ファンの目の前で優勝だ。極上のフィナーレが見えた。【柏原誠】

 

▼東が開幕6連勝となり、1軍初登板の昨年から無傷の7連勝。オリックスでデビュー7連勝は阪急時代の57~58年西田の6連勝を抜く球団新記録。今季は島本(阪神)と大江(巨人)もデビューから7連勝したが、東はすべて先発の白星。デビュー13連勝の記録を持つ66年堀内(巨人)は5勝目が救援勝利で、オール先発白星のデビュー7連勝以上は1リーグ時代の36~37年景浦(タイガース)7連勝、42年藤本(巨人)10連勝に次いで3人目。

 

▼オリックスは今日のロッテ戦に勝てば3連覇を達成する。オリックスが本拠地で優勝を決めればグリーンスタジアム神戸時代の96年9月23日日本ハム戦(イチローのサヨナラ安打)以来で、京セラドーム移転後は初めて。また、今季はセ・リーグで阪神が優勝しており、過去に両リーグとも関西の球団が優勝は64年の阪神と南海の1度だけ。64年阪神は甲子園で優勝を決めたが、南海は試合のない日にV決定。関西の2球団がそろって本拠地で優勝を決めれば初めてになる。

 

◆阪急の4連覇(75~78年) オリックスの前身阪急ブレーブスは、球界最強軍団とも称される黄金時代を築いた。当時は年間2シーズン制時代。76、78年は前後期Vの完全優勝を果たす。知将上田利治監督のもと投打のバランスは抜群。エース山田久志は76年から3年連続MVPとなり、4年間で計72勝。足立光宏、今井雄太郎、佐藤義則らが続いた。打線はリードオフマン福本豊を2番大熊忠義がつなぎ、加藤秀司、マルカーノらに加え、77年に加わった島谷金二も中軸に座った。4年間の通算チーム成績は294勝194敗32分け、勝率6割2厘。100の貯金を積み重ねた。

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