楽天の“天才”が、3安打2打点で、チームをCS争いに踏みとどまらせた。

辰己涼介外野手(26)は、1点リードの4回2死一塁、フルカウントから上沢の低め135キロフォークを左前へ運んだ。スライディングキャッチを試みた左翼手野村が後逸した間に一気に二塁へ。適時二塁打となった。6回2死二、三塁で迎えた第3打席は、打球をたたきつけて遊撃へ適時内野安打。「練習通り。理想的なバッティングができた」と、2本の適時打に満足げだった。

自信を増して試合に入っていた。試合前、ベンチへ向かう通路で日本ハム新庄監督とたまたま遭遇。「よお、天才バッター」と声をかけられた。「自信になりました。去年もホームランを打った次、ネクストにいるときに、ジェスチャーでナイスバッティングとやってくれた。うれしいですね」。敵将の現役時代と同じ、強肩好守と勝負強い打撃が武器の中堅手。率直な褒め言葉を力に変えた。

自身も、歯に衣(きぬ)着せぬ言動は“辰己劇場”としてファンを魅了する存在だ。3位ソフトバンクと1差、2位ロッテと2差と迫り、満員御礼となった球場を沸かせた。逆転CS進出へ。「頑張ってほしいなと思います」となぜか仲間へエールを送って、球場を後にした。【湯本勝大】