大歓声に沸くスタンドの中、楽天岡島豪郎外野手(34)は冷静だった。浅村の2点適時打で追いついた直後の、5回2死一、二塁。「絶対打ってやろうと、その気持ちだけでした」と集中力を研ぎ澄まし、左打席へ入った。わずかに外角に外れた初球を見極め、続く2球目。日本ハム玉井のカットボールが甘く入ってきたのを、逃さなかった。逆らわずに逆方向へ。後方への打球を追う左翼手野村の背中を見ながら、祈った。

「ほんと、越えてくれと思って走っていた」

思いは、通じた。打球は野村の頭上を超え、左翼フェンスを直撃。2者が生還したのを見届けると、三塁側ベンチで喜ぶ仲間に向かって右拳を突き上げた。

これで3位ロッテと0・5差。2位ソフトバンクとも1・5差とした。残り2試合は、CSを争うライバル2チームを本拠地に迎える。負けられない戦いが続くが、岡島の心に一点の曇りもない。「勝つことだけ考えてやってます」。仙台のファンとともに、最高のフィナーレへと突き進む。

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