12球団最速公表だ。広島が13日、マツダスタジアム内でスカウト会議を行い、青学大・常広羽也斗投手(4年)を1位指名することを決めた。白武スカウト部長は「スカウト、幹部、現場と意見が一致した。一番の評価をしたということで公表させていただきました」と説明した。

今年のドラフトは大学生に即戦力と期待できる投手がそろっていることから、これまで1位指名を公表する球団はなかった。さらに11日には、阪神岡田監督がメディアを通じて1位指名の非公表を提言したばかりだった。だが「うちは誠意を持って(1位で)行きますということ。(公表するかしないかは)各球団が決めることなので、うちはこういう方針で行きます」と白武スカウト部長。重複も覚悟の上で、球団としての意思を貫いた。12球団初の1位指名公表で、広島は昨年一本釣りに成功した斉藤(苫小牧中央)に続き、2年続けての公表となった。

常広は大学日本代表に選ばれる本格派で、最速155キロの真っすぐと落差のあるフォークを武器とする。球団は「先発としても、抑えでも、どちらでもいける。いろんな面で今年ナンバーワン」と高く評価する。ドラフト会議は26日に行われる。【前原淳】

 

◆阪神岡田監督のドラフト1位非公表のススメ 11日、4年ぶりに有観客で開催されるドラフト会議について言及。「今年は客入れるとか言うてるから、そこでワーッと沸くわけやんか。そんなん(1位が)分かってたらおもろないやんか」。他球団も含めドラフト1位を非公表とすることを提案。「コミッショナーに言わしたらええこと、そうやろ? 」とコミッショナー通達で12球団非公開にする珍プランも明かした。

 

◆広島のドラフト指名明言 逆指名の要素が撤廃された07年以降、09年今村猛(清峰)、12年森雄大(東福岡)、14年有原航平(早大)、16年田中正義(創価大)、17年中村奨成(広陵)、19年森下暢仁(明大)、22年斉藤優汰(苫小牧中央)の指名をドラフト前に明言している。今村、森下、斉藤は単独指名だった。

 

◆青学大のドラフト1位 過去8人おり、広島では96年に指名した沢崎俊和投手が97年に12勝で新人王に選ばれた。96年は沢崎の他に清水将海捕手がロッテ、井口忠仁内野手(後に改名して井口資仁)がダイエーに指名され、同一年の同一大学では最多タイとなる3人が1位。井口と15年1位の吉田正尚は大リーガーになった。

 

◆常広羽也斗(つねひろ・はやと)2001年(平13)9月18日生まれ、大分県大分市出身。南大分中では大分シニアでプレー。県立進学校の大分舞鶴では1年夏からベンチ入り。3年夏は2回戦敗退。青学大では2年春に初登板。今年の大学選手権では決勝で明大を完封するなど2勝を挙げ、チームを18年ぶりの優勝に導きMVP。大学日本代表では日米大学野球で優勝した。東都1部リーグ通算7勝4敗、防御率1・69。180センチ、73キロ。右投げ右打ち。