背番号128が拍手喝采を浴びた。

CSファイナルを4日後に控える阪神が、フルメンバーの打順を組んできた。早くから先発が決まっていた西武菅井信也投手(20)は臆さなかった。

「ある程度予想はしていたので、そこまで驚きはしなかったんですけど、やってやろうという気持ちにはなりました」

初回、阪神1番近本にいきなり初球をセンター前にはじき返された。

「自分の投球をしようと思って臨んだんですけど、先頭の近本さんに打たれて『やっぱり甘くは投げられないな』というのを感じて」

しかし2番中野を投ゴロ、3番森下を三ゴロに。大山に四球を出し、暴投で2死二、三塁にしてしまったが、5番佐藤輝を高め直球で捕邪飛にした。「ずるずるいかないで抑えられたのが良かったかなと思います」。マウンド上でグラブを何度かたたいて、感情を示した。

山本学園(山形)から育成選手として入団し、もうすぐプロ2年目を終える。肩の痛みもいえ、今季はイースタン・リーグでも先発経験を多く積んだ。それでもやはり、セ優勝チームの打線は違う。

「ファームでは感じられない圧力というか、打ってきそうな感じが感じられたので。そこを今日経験できたのは良かったかなと思います」

佐藤輝を捕邪飛にしたのは137キロ直球だった。最速でもこの日は144キロ。ゆったりとしたフォームから、数字以上に差し込んだ。チェンジアップも徐々に効果を高め、阪神打線を惑わせた。

菅井本人が一番良かったというのは「中野さんのインコースのゲッツー取った時のチェンジアップが。打ち取り方が一番良かったと思います」。3回、近本に安打されるも、左対左で内角にチェンジアップを入れて、タイミングを崩した。同じ山形県出身。面識もある中野を打ち取り、さらに勢いに乗った。

2軍投手コーチを務め、今季限りで退団した内海哲也氏(41)が、去り際に「育成出身でポテンシャルも高くて、僕とかぶるというか投げ方もちょっと似てるんでちょっと思い入れがあって」と話していた20歳左腕。今後への期待値をぐんと上げる好投を見せ、視察した松井稼頭央監督(47)をも「素晴らしかったね」とうならせた。【金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧はこちら―>