待ってろ虎! オリックスが3年連続の日本シリーズ進出に王手をかけた。両軍無得点で迎えた8回2死三塁から若月健矢捕手(28)が決勝の左前適時打を放った。対戦成績はこれで3勝1敗(アドバンテージ含む)。21日の第4戦で勝つか引き分ければ、阪神との日本シリーズが決定だ。64年の阪神と南海(現ソフトバンク)以来、59年ぶりとなる日本シリーズの関西ダービーが実現する。

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王者の底力を見せた。0-0で迎えた8回2死三塁、カウント2-2から若月が食らいついた。「うわ、追い込まれちゃったという感じで(笑い)。ヒットはヒットなんでね、良かったです」。しぶとく先制適時打を放つと、続く頓宮の二塁打で本塁へ激走。「中学校の体育祭を思い出しました」。青春まっただなかの10代のように、チーム全員が熱く燃えた。

プロ10年目の28歳。今年8月22日に国内FA権の取得条件を満たしたが、9月5日はやくも残留を決意した。「愛着のある球団で」とおとこ気の決断。チーム愛は深かった。18日の第1戦では、レッドソックスに移籍した吉田正が中継ゲストで来ると知り、ボストンの「B」がついた自前のキャップで球場へ。「力をもらおうと思って」とにやりと笑った。

9月にはワイルドなあごひげを生やしていた。ケガで辞退の森に代わった球宴限定で、同学年の森を意識したあごひげ姿で出場したが「ちょっと調子が落ちてきたので」と、つかの間復活。チームメートの力も集めながら? ここぞの勝負強さを見せてきた。

第1、2戦目とは異なり、なかなか点が入らない重苦しい展開。投手陣が懸命に0でつなぎ、最後に野手陣が必死に束になった。中嶋聡監督(54)は「なんかこういう展開が似合いますね。らしいっすよね。なんか、うちの野球なんだろうな、これって思いながら」と苦笑いしながら、ほっと胸をなで下ろした。

離脱した頓宮も戻り、若月は「ベンチがうるさくてうるさくて。存在感があって頼もしいと思います」とうれしそう。苦しくても楽しいオリックスの野球で、阪神が待つ日本シリーズ進出を決める。【磯綾乃】

▽オリックス平野佳(9回先頭に二塁打を浴びるも無失点締め)「すごい声援を送ってもらえて良かったです。山岡もやり返したし、みんなが日本シリーズに行くという気持ちで頑張った」

▽オリックス杉本(8回先頭で先制点を呼び込む左翼への二塁打)「展開も終盤で守備位置も深めだったので、落ちたら二塁に行くつもりだった。京セラの弾む打球は難しい。ラッキーなところに飛んでくれた」

▼オリックスがアドバンテージの1勝を含め3勝1敗となり、3年連続日本シリーズ出場に王手。シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで先に王手をかけたチームは今季の阪神まで43チームのうち77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日を除く40チームが進出。突破確率は93%と高いが、12年中日は3勝1敗から3連敗して3年連続シリーズ出場を逃しただけに、まだ安心はできない。

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