独立リーグのシンデレラボーイが阪神から2位指名を受けた。四国IL徳島の最速159キロ右腕・椎葉(しいば)剛投手(21)が球団では独立リーグで最高位のサプライズ指名。元阪神藤川球児氏(43)の火の玉ストレートに憧れ、目標は「第2の藤川」と言い切る大阪出身の豪腕が夢への扉を開いた。

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サプライズ指名に会場がドッと沸いた。独立リーグの四国IL徳島から快速右腕の椎葉が阪神から2位指名を受けた。指名の瞬間、会場に祝福ムードが漂うと最速159キロ右腕からはすぐに白い歯がこぼれた。大洋や日本ハムでプレーした岡本哲司監督(62)とがっちり握手を交わした。

「呼ばれるまでは不安だったが、呼ばれてからはホッとした気持ち。小さい頃からあこがれていた球団。すごくうれしい」。

大阪出身だったが、甲子園とは無縁だった。島原中央(長崎)では3年春まで捕手。最後の夏は長崎1回戦で散った。その後、社会人の強豪・ミキハウスに進んだが、公式戦ではわずか1試合の登板に終わった。「クビになって、野球を続けられる状況じゃなかった」と昨年のドラフトは見ていない。

それでも「プロで見返す気持ちが大きかった」と夢を諦めきれず、徳島のトライアウトを受けて合格。初めて本格的なウエートトレーニングに励むと、体重増で球速もアップ。9月下旬には159キロを計測した。岡本監督の下、徳島で研さんを積み、わずか1年弱で花開いた。

目標は「第2の藤川」と堂々の宣言。藤川球児の火の玉ストレートに憧れ、「藤川選手が投げたら安心する。椎葉が投げたら安心する選手になりたい」と夢見る。今年は四国ILで奪三振率11・77と魅力たっぷり。畑山統括スカウトも「上位に上がってる大学生らに引けをとらないか、それ以上」と評価し、将来的には中継ぎでもくろむ。

独立リーグからは球団最高の2位。昨季最優秀中継ぎを獲得した湯浅や今季中継ぎで活躍した石井ら、独立リーグからプロの世界で輝きを放つ先輩がいる。「ピッチャーとしての歴も浅いのでケアとか聞きたい」。投手歴はわずか4年の右腕が目を輝かせる。

朗希世代の豪腕は未来をこう描いた。「勝ちパターンに入って、セーブ王を取りたい」。勝利の方程式入りも期待される。投手王国に楽しみなピースが選ばれた。【林亮佑】

◆椎葉剛(しいば・つよし)2002年(平14)3月18日生まれ、大阪府出身。三原台小1年から高倉台ポニーズで野球を始める。三原台中では富田林ボーイズに所属。島原中央(長崎)では3年春まで捕手だった。ミキハウスに3年間所属し、今季から四国IL・徳島。最速159キロ。目標の選手は元阪神藤川球児。183センチ、92キロ。右投げ右打ち。