マジック返しだ! オリックスが第1戦のスコアをひっくり返す「8-0」で阪神に快勝し、対戦成績を1勝1敗の五分に戻した。

中嶋聡監督(54)の采配が的中。3回に今シリーズ初スタメンとなった広岡大志内野手(26)が出塁し、西野真弘内野手(33)が先制タイムリーを放った。初戦は阪神岡田監督のタクトが光ったが、ナカジマジックも負けてはいない。甲子園に舞台を移し、31日に第3戦が行われる。

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中嶋監督の目は間違っていなかった。0-8の完封負けから一夜明け、8-0で快勝。グラウンドの真ん中でお立ち台に立った指揮官は、いつものようにひょうひょうとしていた。

「昨日の試合が本当に申し訳ないなと思いましたので、何とかやり返せて良かったなと思います」

前夜のスタメンから変わらなかったのは「5番DH頓宮」のみ。臆することなく8人の打順を入れ替えると、選手たちが「ナカジマジック」に応えた。3回にチーム初安打を放ったのは、日本シリーズ初出場で初先発に抜てきされた広岡。渾身(こんしん)の左前打から生まれた2死二塁の好機で、同じくスタメン起用の西野が先制の適時三塁打を放った。初戦はベンチから外していた伏兵の一打。「負けてる分、最初の点がほんとに欲しい。それでどんどん動いていくというのもある。西野のヒットは大きかった」と指揮官。三塁上で白い歯を見せる西野を、ベンチからガッツポーズでねぎらった。

今年もレギュラーシーズンでは143試合で135通り。「ナカジマジック」とも呼ばれる打順は、綿密な準備と観察から生まれている。選手の調子はもちろん、相性も大事な要素。ただデータだけで決めるのではなく「この投手の軌道には、この選手の打ち方が合う」と、さまざまな要素を組み合わせて決定する。

完封負けから一夜明けたこの日の試合前練習。アップを行う選手たちの最後尾で、中嶋監督も体を動かした。フリー打撃が始まると、一塁後方でじっと打ち込む姿を見つめた。全てが大事な判断材料になる。

1勝1敗に持ち込み、いよいよ敵地甲子園へ。「こんな展開になるのは昨日も今日も本当に珍しいと思う。それはもう考えない方がいい。僅差のゲームになってくるという考えしかないです」。大歓声の聖地でも冷静に、柔軟に、目の前の一戦に全力を尽くす。【磯綾乃】

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