阪神の本拠地、兵庫・西宮市の甲子園球場でも、5日に日本シリーズ第7戦のパブリック・ビューイングが催され、内野席を開放して行われた。

38年ぶりの日本一まで、残すは9回裏。このとき、甲子園には横田慎太郎さんの登場曲「栄光の架橋」(ゆず)が流れた。

パブリック・ビューイングに参加した1万2424人が精いっぱいの声を張り上げて大合唱。甲子園がひとつになった。

その9回裏、オリックスの攻撃を桐敷、岩崎が1点に抑え、7対1。悲願の日本シリーズ優勝を決めた。

試合の間、青柳コールが、森下コールが、そして岡田コールが甲子園に何度もこだました。

目の前に阪神ナインはいない。それでも、パブリックビューイングに参加した1万2424人の思いは、京セラドームにしっかり届いた。

この日、ゲストとして甲子園に登場した阪神OBの今成亮太氏(36)は試合開始前「きのう(第6戦)は悔しかったですね。きょうは絶対にやり返してくれますよ。青柳は今シーズン、悔しい思いをしているので、きょうこそ晴らしてほしい!」とファンに呼びかけた。

その先発青柳は5回途中で降板したが、気持ちのこもった熱投は甲子園のファンに間違いなく伝わった。2死一、二塁で前夜ホームランの紅林を一塁ゴロに討ち取った3回裏。3者凡退で抑えた4回裏と、粘りの投球を見せるたび「青柳! 青柳!」と内野スタンドが揺れた。

今季の開幕投手のピッチングに応えるように、ノイジーの3ランが飛び出し、森下、大山、ノイジーの連続タイムリーで6点のリードを奪った。38年ぶりの夢が徐々に近づく。甲子園のバックスクリーンの大型ビジョンを通じて、虎ファンは歓喜を抑えきれない。思わず立ち上がって声援を送る姿も多く見られた。

9回表、近本が打席に立つと、6点リードにもかかわらず「かっとばせ! 近本!」の大コール。森下の安打で近本が7点目のホームを踏むと、まるで決勝点かのような大歓声が上がった。

2023年の日本プロ野球をしめくくるパブリックビューイング。この日午前10時から先着順(無料)での申し込み受け付けが始まったが、熱心なファンが殺到。すぐにネットがつながらない状況となった。その後、10時13分には「予定枚数終了」の表示。激しい争奪戦を制した幸運なファンは、うれしい、うれしい日本シリーズ優勝を甲子園で目撃した。

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