“魔球”完全習得で、最強の守護神になる。秋季キャンプに参加中の日本ハム田中正義投手(29)が9日、エスコンフィールドでブルペン入り。ジャイロ回転を目指して改良中のフォークボールを含む全球種を、入念に確認した。

今季はチーム最多の25セーブを記録。名前と投球スタイルから、ネット上で「正義執行」の異名を取った剛球右腕が、新たな必殺技を手に入れようとしている。

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今季チーム最多の25セーブを挙げた日本ハム田中正が、“魔球”とも呼ばれるジャイロフォークの習得に励んでいる。この日、ブルペン入りし、捕手を立たせて傾斜の上から軌道を確認。指を「ジャイロ(回転)になるように」ボールの縫い目にかける。目指すのは、ボールの進行方向に対して時計回りの回転で「落差を出せるように。スピードも落差も両方欲しいし、しっかり腕を振りたいという思いがあるので。いい方向に行っていると思う」と手応えを口にした。

昨オフ、FAの人的補償でソフトバンクから日本ハムへ移籍した。最速157キロの剛速球を武器に、新天地でクローザーとしてキャリアハイの成績を残したが、これまで投げていたフォークボールの握りでは抜けやすく、ウイニングショットとなる変化球が課題になっていた。ジャイロ成分の多いフォークボールは、自主トレで弟子入りするなど師弟関係にあったメッツ千賀やオリックス宇田川らが投げており、異次元の落差が魅力だ。米シアトルのトレーニング施設「ドライブライン」で開発された、大きさや重さの違う練習用ボールを使用し、環境負荷を高めることで「難易度が上がる。それでも普通に投げられるように」と、完全習得を狙う。

ブルペンで見守った加藤投手コーチは「落ち方は、いい。あとは、まだ立ち投げなので(捕手を)座らせて、150キロぐらいの直球の腕の振りで、どのくらい落ちるか」。名前の「正義」と剛腕ぶりから、セーブを挙げるたびにネット上で「正義執行」とファンを沸かせた右腕は「優勝争いをしたい。しっかり0で抑えてチームの勝ちに貢献したい」。新たな必殺技で最強の“執行人”を目指す。【中島宙恵】

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