中日が戦力補強に大きくかじを切った。戦力外通告を受けた巨人中島、ソフトバンク上林、阪神山本を獲得する。そして巨人退団の和製大砲中田にも触手を伸ばす。

立浪監督は就任以来、外野フェンス前にテラス席を増設することを要望してきたが、来季も広大な球場の規格維持が決定済み。「守備力を上げて、僅差で勝てるゲームを増やさないと上を狙えない」と準備を進めた。優勝した阪神に劣らない投手力を中心に、センターラインの強化がメインテーマ。ドラフトで即戦力内野手2人を指名したのも、未固定の二遊間強化で、阪神山本獲得もその一環だ。

2年連続でチーム得点は12球団最下位。得点圏に走者を置いては決定機を逃した。四球の査定ポイントアップから成功した岡田阪神に見習い、大野雄が契約更改会見で査定見直しを提言。指揮官はエースの発言に理解を示しつつ「ウチの場合はやっぱり得点圏。得点圏打率、犠牲フライ1つにしてもポイントがあれば」と話した。岡林、石川昂ら若手へ世代交代する中で中島、中田らベテランに白羽の矢を立てたのも、勝負強さに注目してのことだろう。

特に中田はFA宣言の場合、人的補償でライバル球団に戦力が流出する懸念もあった。しかし、自由契約での退団なら一本釣りが可能。獲得競争に球団が全力を注ぐことは必至の情勢となる。【中日担当=伊東大介】

 

◆中島宏之(なかじま・ひろゆき)1982年(昭57)7月31日、兵庫県生まれ。伊丹北から00年ドラフト5位で西武入団。11年オフにポスティングシステムで大リーグ移籍を目指し、ヤンキースが入札も交渉決裂。12年は西武に残留し、同年オフにFAでアスレチックスと2年契約。13、14年ともに大リーグ出場なし。15年にオリックスへ移籍し国内復帰。18年オフに自由契約となり巨人移籍。通算1933試合で1928安打(打率2割9分3厘)、209本塁打、994打点。09年最多安打、08、09年最高出塁率。ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞3度。08年北京五輪、09年WBC日本代表。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。

 

◆上林誠知(うえばやし・せいじ)1995年(平7)8月1日生まれ、さいたま市出身。仙台育英では春夏合わせて3度の甲子園出場。13年ドラフト4位でソフトバンクに入団。18年に全試合出場を果たし、自己最多22本塁打。19年4月29日の日本ハム戦でパ・リーグ平成最後の本塁打を放った。昨季は5月に右アキレス腱(けん)断裂の大けがで離脱し、33試合出場にとどまった。通算602試合出場、57本塁打、203打点、打率2割4分2厘。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。

 

◆山本泰寛(やまもと・やすひろ)1993年(平5)10月10日、東京都生まれ。慶応高から慶大に進学し、15年ドラフト5位で巨人に入団。20年オフに金銭トレードで阪神に移籍した。22年は86試合に出場、打率2割4分9厘、2本塁打、15打点で存在感を見せた。バッテリー以外の内野全ポジションをこなすユーティリティープレーヤー。通算成績は341試合に出場、打率2割3分5厘、5本塁打、40打点。176センチ、74キロ。右投げ右打ち。