西武の秋季キャンプが19日、終了した。助っ人のボー・タカハシ投手(26)も入団2年目を終えた。ブラジル出身の右腕。「帰国はたぶん12月になってからですね」。もう少しだけ日本で過ごしてから帰る。

日本語が堪能じゃないのにいつも隣に誰かが寄ってくる。宮川からはブルペン待機中に鳥羽一郎の「兄弟船」を伝授された。「本名はロドリゴ・ヒトシ・カイモチ・タカハシです」。日系3世。周りからは「ヒトシ」と呼ばれる。

そんな仲間が大好きだ。この春の来日時、投手陣に土産を配った。「飛行機がたまたまドバイ経由だったので。ドバイの空港で買いました」。世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」のキーホルダー。母国のコーヒーも添えた。平井やエンス、多くの仲間がリュックに付け「身近に置いてもらえたのはうれしかったですね」と喜んでいた。

ブラジル育ちでも身の回りには日本文化があった。「オミヤゲ。その言葉も分かります。子どもの時、周りの人がどこかに行ったらみんながオミヤゲをくれました」。土産とは違うものの、少年時代に日本に暮らす親戚からのギフトで夢ができた。松坂大輔投手の試合のビデオ。「憧れて日本で野球をしたいと思うようになりました」。

大人になって地球の反対側にやって来て、偉大な足跡が残る場所にいる。救援で経験を重ね、先発挑戦を指示された来季はまっさらなマウンドへ。「まず第一にケガしないこと。100イニング以上投げながら、チームがポストシーズンまで行けばいいなと思います」。この冬の日本土産の予定は「日本製のチョコとかキャンディーですね。小さい時に食べて、みんなの懐かしの味なんです」。来年はそこに日本一の証しを添える。【金子真仁】