再び優勝の喜びを味わいたい-。ソフトバンク中村晃外野手(34)が7日、ペイペイドーム内の球団事務所で契約交渉に臨み、現状維持の年俸1億5000万円プラス出来高で更改した。今季は打率2割7分4厘、5本塁打、37打点。守備では一塁手でゴールデングラブ賞に輝いた。2年契約最終年の来季もレギュラーは不透明。定位置奪取で4年ぶりのV奪還だけを見据えた。(金額は推定)

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プロ17年目を迎える来季。会見の最終盤に、どんなシーズンにしたいか-。その問いに、中村晃は淡々とした口調ながらも、覇権奪還へ強い思いをほとばしらせた。

「やっぱり優勝ですかね。優勝を知らない選手も増えてきましたし、優勝して喜びたいなと思います」

主力に定着した13年以降、4度のリーグ優勝を経験した。ただ、直近3年間はオリックスが制した。今季は首位と15・5ゲーム差をつけられて屈辱の3位に沈んだ。「オリックスが3連覇していますし、悔しい思いはあります」と無念さを募らせる。さらに「優勝はいいもんだなっていうのを知ってるのと知らないではモチベーションも変わる。優勝をしたことがない選手は喜びも分からない」。自身はリーグ優勝でしか味わえない喜びを熟知する。だからこそ若手にも優勝の瞬間を味わってほしい。

「だめだったらだめ」の覚悟で臨んだ今季は136試合に出場。「こだわりはない」打順では1、2、4、5、6、7番とチームの状況に応じてマルチな役割を担った。打率2割7分4厘、5本塁打、37打点。守備では一塁手として球団初の4年連続でゴールデングラブ賞を受賞。攻守で存在感を示した。「数字的にはいいとは言えないですけど、まだまだできそうなだなという感じはありました」と確かな手応えをつかんだシーズンだった。

来季で35歳。ベテランの域に達したが、1年ごとに競争のふるいにかけられる。小久保監督は来季の構想について近藤、柳田以外はレギュラー白紙を明言する。中村晃は当然のように、その現実を受け止める。「今年もそうでしたし。それが普通なんじゃないですか。僕が監督でもそうだと思います。絶対的な数字は残せていない」ときっぱり。

「控え(選手)とか関係なく『全員がレギュラーを取ってやるんだ』と思ってキャンプインしてくるかどうか。強いチームはそうかなと思います」。4年ぶりのリーグ優勝へ個のレベルアップは不可欠。ベテランもまた一から主戦場をつかみにいく。【佐藤究】

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