DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手(21=ENEOS)と、度会の父博文さんとヤクルト時代に僚友だった日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(53)が、“親子”対談を行った。後編はプロ1年目の心得、ウエートトレを中心にトレーニング論を語り合った。【取材・構成=小島信行、久保賢吾、小早川宗一郎】

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宮本氏は、自身のルーキー時の経験を明かしながら、度会に“プロ1年目の心得”を説いた。

宮本氏 ドラフト1位で即戦力で期待されてるだろうから、それだけの活躍をしてほしい半面、自分のペースは1年間崩さないようにやってほしい。

度会 意識します。個人的に思ってるのは、記者の方とかにも新人王狙いますか? とか聞かれるんですけど、個人の目標というよりはチームの優勝に貢献できる活躍をしたいです。

宮本氏 とにかくケガをしないように。あとはうまくやること。俺は入った時に古田さんから「人間関係って大事だぞ」って言われたのを今でも覚えてる。

度会 僕もそのお話、古田さんから伺いました。

宮本氏 キャンプの時に古田さんと同じ部屋で、部屋割りの紙を渡されて「あいさつしてこい」って言われて全部屋を回ったよ。

度会 いろいろと勉強になります。

宮本氏が、父親のように会話をリードしていく。テーマは心得からトレーニング論へと変わった。

宮本氏 隆輝、ウエートトレーニングはするの?

度会 やってない方だと思います。ウエートをガツガツというより、走り込みやバットをひたすら振ってという感じです。

宮本氏 俺はプロ入ってからやり出して、すぐに体重も増えたんだけど、その後増えなくなって…。そこからボディービルの先生をつけたら6、7キロ増えて、打感が全然変わった。

度会 ノックとか、ずっと野球の練習をされてるイメージでした。

宮本氏 もちろん、それもするけど、メジャーの鈴木誠也(カブス)や大谷翔平(ドジャース)の体を見ればそうでしょ。プレーの全体的な部分が変わってくるし、ケガしない体を作るっていう意味もある。

度会 ボディービルダーの方に教わったっていう発想がすごいと思います。

宮本氏 動けなくなるのを理由にやらない人も多いんだけど、筋量さえつけばそういうことはないし、オリンピックの100メートル走の決勝で細い選手っていないでしょ。

度会 確かに、みなさん体がゴツいですね。

宮本氏 ということは、スピードが落ちるっていうことはないから。筋量がつけばね。

度会は何度も首を上下させながら、宮本氏の話に聞き入った。

宮本氏 フィジカルは一番大事。野球選手って技術屋なんで、どうしても技術ばかり求めるんだけど、例えば1000回振って疲れてたところが、筋力が上がれば1200回とか振れる。ということは、技術が上がることにもつながる。

度会 家にちょっとしたジムがあるんですけど、お父さんも結構やる方で今でも毎日やっていて。まだお父さんより大胸筋も腕も細いんで、まずはお父さんくらいになりたいです。

宮本氏 お父さんに負けてるようじゃ、まだまだだな。2年目以降で良くなってる選手は例外なく、デカくなってる。オフに追い込んでる証拠だろうね。

度会 来年、宮本さんにお会いした時に大きくなってなかったら、怒られそうですね…。

宮本氏 たぶん、怒ると思うよ(笑い)。

度会 しっかり頑張りたいと思います!

     (おわり)

◆宮本氏と度会父 度会の父博文さんは中央学院大から93年ドラフト3位、宮本氏はプリンスホテルから94年ドラフト2位でヤクルト入団。博文さんは5年目の98年に1軍で初出場しており、両者ともに1軍でプレーしたのは98~08年までの11シーズン。この間、若松監督の01年にチームが日本一。野村監督の98年には2人同時スタメンが33試合あった。

◆度会隆輝(わたらい・りゅうき)2002年(平14)10月4日、千葉県生まれ。3歳で野球を始める。横浜高では1年夏から2季連続で甲子園出場。卒業後は社会人野球のENEOSに進み、1年目からレギュラーで活躍。2年目の都市対抗では9年ぶりの優勝に貢献し、野手では史上初めて橋戸賞、若獅子賞、打撃賞の3冠に輝いた。183センチ、83キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄。

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