阪神前川右京外野手(20)が“大山トレ”で今季の飛躍を期す。15日、今年初めて鳴尾浜に姿を見せ、自主トレ中の地元三重県内の施設で、低酸素トレーニングを行っていることを明かした。「体の使い方もだいぶよくなってると思う。低酸素の中でやってるんで、もうだいぶ体幹とかは鍛えられてきたのかなと思います」。

低酸素トレーニングは、高地のように人工的に酸素濃度を下げた環境下で行うため、持久力や筋力の増強に効果があるといわれる。前川の場合、部屋の酸素濃度を通常より15%ほど低く設定。これは標高1500~2000メートル程度にあたり鳥取県の大山(1729メートル)の頂上で動いているのと同程度になる。前川も「山の上でやっている感じ。結構しんどいです。(息も)苦しいです」と話す。

野球の動きも含め、1時間半ほどトレーニングを行っている。苦しい練習を重ねるのは、今季「1軍完走」を目標に掲げるからだ。昨季は5月末に1軍デビューし、33試合に出場。先発も24試合任されたが、8月に体調不良で離脱した。新人だった22年も長期離脱している。シーズンを戦い抜ける体を作り、高卒3年目こそ「そら戦力になる」という岡田監督の期待に応えてみせる。【高垣誠】

<低酸素トレーニングを実施した主なアスリート>

◆広島九里亜蓮(20年)低酸素マスクを着用してダッシュなどを行った。

◆ボクシング伊藤雅雪(18年)フィジカルトレーニング施設で低圧低酸素ルームに入って自転車トレに取り組んだ。

◆巨人沢村拓一(14年)低酸素状態で練習ができる特殊マスクで走り込みを行った。

◆楽天塩見貴洋(11年)新人合同自主トレで標高2500メートル相当の低酸素の中で心肺機能、持久力アップを図った。

◆ラグビー日本代表(11年)W杯期間中にトラックのコンテナのような小部屋を低酸素状態にし、自転車型トレーニング器具や縄跳びなどで強化。

◆水泳北島康介(05年)1コースに特殊テントを設置し、標高2000メートルと同じ状態の中で練習した。