ヤクルトのドラフト2位の松本健吾投手(24=トヨタ自動車)が伝説に触れた。

沖縄・浦添キャンプ第3クール初日の10日、ブルペンで20球が過ぎた頃だった。背後で見ていた伊藤智仁投手コーチが歩み寄った。手にしていたボールを見せると、それは伝説と称されたスライダーの握りだった。同コーチは縫い目にかけ、リリースまでの一連の動作をレクチャー。そこに同じく現役時代、スライダーを武器にリリーフ左腕として活躍した石井コーチも加わった。松本健は「スライダーは僕の中で優先順位高くなかったんですけど、今までとは全く違った感覚というか、自分のスライダーとは全く違うものでした」と新球種に出会った。

松本健のスライダーは真っすぐの握りを少しずらした感じ。「たまにしか投げない。もう外で簡単にストライク取るボールみたいな感じ」と縦スラ気味。打者をきりきり舞いにしてきた伊藤コーチの代名詞は縫い目にかけ、横に滑らす。松本健は「バッターに打たせるボールとか、決め球とか、そういう感じで使えると思います」。極上の講義だった。

「『ヒュッといったら曲がるから』みたいなことを言ってるんですけど、やっぱ難しいんで」と、たじたじ。伊藤コーチは「2分でいけるよ」と冗談を言い、天才ならではの感覚を示した。最速152キロの新人右腕はカーブ、カットボール、スプリット、スライダーに、新たな魔球を加え、伝説の仲間入りを果たす。【栗田尚樹】

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