青空に向かう、大きなアーチを描く。楽天ドラフト8位の青野拓海内野手(18=氷見)は高校通算23本塁打の打撃、最速145キロをマークした強肩が魅力だ。氷見(富山)では投手を務めたが、プロではその打棒を買われ、野手に挑戦する。23年ドラフト最後の支配下指名選手の「下克上ストーリー」が幕を開ける。

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青野が、トッププレーヤーへの道を突き進む。当初、スポーツは水泳とサッカーをしていたが、「野球をしていた父とキャッチボールをしたりして、楽しくてやってみた」と、小学2年から野球を始めた。氷見では商業を学ぶ学科に進学。そのため、土日に簿記などの検定取得を目指して学校に行くこともあった。野球では3年春に甲子園出場という結果を残し、さまざまな知識を得て、プロの世界にやってきた。

高校時代、宮城に来たことがある。同校2年の22年秋、同夏甲子園で東北勢初優勝の仙台育英と練習試合をした。マウンドや打席で優勝メンバーと対戦し、「最初は自分たちが勝っていた。抑えていたが体力がなくて、最後の方は打たれた」と振り返った。実力のある同世代との時間は、とても貴重だった。「高いレベルの選手とやることで、どういった目標を立てればいいのか明確になった」。

大切にしている言葉は「謙虚にひたむきに」。中学時代の野球部監督が卒業アルバムに記し、心に残っているという。青野は「プロになったからといって偉いわけでもない。(支配下指名の)最下位で入っているので、上にはいつくばってでもしっかり練習する。謙虚にやっていれば、いつかはトッププレーヤーになれる」と気を引き締めた。

球団は交渉権を獲得後に「体格の良さに加え、身体の強さとクセのないスイングで、長距離打者として伸びしろを期待できる選手」とコメントした。右の長距離砲候補は、1軍の上位打線に君臨すべく、技術を磨いていく。【相沢孔志】

◆青野拓海(あおの・たくみ)2005年(平17)7月26日生まれ、富山県氷見市出身。氷見では3年春、21世紀枠で甲子園出場。23年ドラフト8位で楽天入団。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は500万円。趣味は音楽鑑賞。