キャッチボールは、ただの肩慣らしじゃない。沖縄・金武での春季キャンプ。楽天のドラフト1位左腕・古謝樹投手(22=桐蔭横浜大)は「近い距離でも体全体を使うことを意識して」投げていた。バランスよく、小気味いい回転でボールが放たれる。しばらくするとおもむろに相手に正対。上げた右足を正面に踏み出し、右腕も正面に突き出す。そのまま左腕を振った。

(1)一塁けん制の動きのようだが「けん制ではないです。自分、ちょっと(右)肩の開きが早いので(右腕を正面に突き出して)肩の開きを抑えながら投げました」。キャッチボールのパターンはまだあった。(2)三塁けん制のような動きでも投げた。(3)右足ではなく左足を踏み出したあと、引き戻すように上半身を反時計回りにねじってからも投げた。(4)相手にお尻を見せてしゃがみ、クルッと回転して投げた。投ゴロを捕って二塁へ投げるイメージ。「投内連係があったので、その確認です」。フィールディングの練習だった。

では、(2)や(3)にはどういう意図が? 「キャッチボールから、いつでもブルペンで投げられるよう体をほぐしてます。体が柔らかくなくて。その分、動きでカバーしないと、肩、肘、腰を痛めちゃう。いろんな動きで、いろんなところに刺激を入れてます」。不自然にねじる動作には、明確な意図があった。

通常の投げ方とあわせ“5色のキャッチボール”。きっかけは大学代表で臨んだ昨夏の日米野球。東洋大・細野を参考にした。その細野が入った日本ハムと18日に対戦。古謝は先発デビューとなる。ドラ1同士の投げ合いはまだ先だが、同代表で一緒だった進藤や宮崎とは対戦があるかもしれない。「意識してません」。それよりも「打たれてもいい勉強にはなる。1つでも多く得られる投球を」。実戦にも明確な意図を持って臨む。【古川真弥】

▽楽天永井投手コーチ(古謝のキャッチボールに)「自分なりに考えながらやってますね」

【関連記事】楽天ニュース一覧