巨人オコエ瑠偉外野手(26)が、特大のチーム1号で9年目の開花目前を宣言した。18日、若手主体で臨んだチーム初の対外試合となる練習試合サムスン戦に「2番中堅」でスタメン出場。先頭で迎えた7回の打席、左翼席後方の高さ34メートルある防球ネット上部に突き刺さる125メートル弾を放った。ドラフト3位佐々木俊輔外野手(24=日立製作所)が5打点、萩尾も猛打賞をマークするなど、外野手争いは第1ラウンドから激しい火花が散った。

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感触を逃さないように、バットを両手で持ったまま打球を見つめた。オコエが那覇の逆風を切り裂いたのは3点リードの7回裏。カウント1-1から129キロ変化球をパワフルに振り抜いた。風が右翼方向へ吹く中、左翼席後方の防球ネット上段に突き刺す推定125メートルの“崖っぷち弾”に、スタンドから指笛が響いた。「トップの位置に重点を置いている。毎打席『こうかな、こうかな』って試しながらやって、一番しっくりきた」と試行錯誤を繰り返す中での1発だった。

プロ9年目。崖っぷちを自負してのオフは、那覇キャンプで使用するセルラースタジアム那覇を拠点とする坂本へ指導を仰いだ。例年は都内を拠点に活動していたが、自主トレを志願。5度の打率3割をマークしたバットマンから「3割打者」への考えを教わった。「3割と2割9分って100打席で1本しか変わらない。それがボテボテでも3割は3割」。年間フル出場すると約600打席。「1シーズン出て6本しか変わらない。ものの考え方って大事だな」と“坂本の1分”から1本の重みを思い知った。

コンディションが万全でありながら2軍スタートは自身初だった。外野手争いが白紙の状況で、ルーキー佐々木や2年目の萩尾ら若手の1軍スタートに「すごく不安が大きかった」と宮崎入り。場所を那覇へ移したタイミングで昇格し与えられたチャンスだった。

直後、左飛に終わった8回の第5打席。阿部監督が「もう1発いってやろうと見えちゃった。そういうところに落とし穴がある」としっかりくぎを刺したのも、ポテンシャルを見込んでいるから。「良い外野手がたくさんいますし、まだポジションが決まっていない」とオコエ。沖縄の地で崖っぷちから、定位置へはい上がっていく。【黒須亮】

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