今年はひと味もふた味も違う。阪神佐藤輝明内野手(24)が、沖縄セルラースタジアム那覇に集まったファン1万4581人の度肝を抜いた。オープン戦1号は右中間スタンドの防球ネット上部に直撃。あわや場外弾の一撃は推定飛距離125メートル。ボールが道路に飛び出していれば、負傷者が出てもおかしくない弾道だった。

「しっかり角度がついて良い当たりが打てたのでよかった。いいホームランだと思います」

自画自賛の一打は、6点ビハインドの3回2死二塁に飛び出した。巨人赤星の内角145キロを強振。一振りで仕留め、スタンドインを確信するかのように白球を目で追った。

12日の紅白戦以来、4試合ぶりとなる今キャンプ実戦2本目の本塁打。オープン戦初戦の本塁打はルーキー時代の21年以来、3年ぶり2度目だ。岡田監督も「別にもう、なんにもないよ。使うんやから、使う選手やねんから」と言うことなし。3月29日に開幕ゲームを戦う巨人にあいさつ代わりの1発をお見舞いし、視界は良好だ。

仕留めたのは初球。キャンプ中、フリー打撃からミスショットを少なくスタンドインを連発してきた。「1球で打てたので、そこはよかったかなと思います」。8回には右腕松井に見逃し三振に仕留められたが、これが今春実戦17打席目での初三振。紅白戦、練習試合を含め、ここまで全6試合で安打を放ち、15打数8安打で打率5割3分3厘をマークする。

好球必打で確実性の増した「24年版テル」が143試合を戦えばどうなるのか。「まだまだ凡退の打席もあるので、なんとかもっと良い当たりにできるように持っていきたい」と慢心もない。初回の三塁守備ではオコエの三塁線の打球を好捕し、キャンプの成果も見せた。開幕まで35日。攻守に隙のない男に仕上がりつつある。【中野椋】

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