まだまだ、これから-。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けた楽天田中将大投手(35)が、復帰登板を果たした。オープン戦初戦の中日戦(北谷)で先発。「まず無事に終わって良かったです」。打者4人に11球を投げ、1回を2安打無四球1奪三振で無失点。昨年10月2日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)以来、145日ぶりの実戦に胸をなで下ろした。

打席に旧知の4番中田を迎えると、思わず笑みを浮かべた。1点リードの1回2死二塁で対戦し「(中田が)出るかどうかも知らなかったですし、(笑顔は)気のせいじゃないですか。本当に今日、自分のことだけだったんで。『あーっ』とは思いましたけど」。初球は球団計測でこの日最速の141キロ直球でボール。捕手太田のサインに首を振ってから投じた2球目、131キロのスプリットで詰まらせ二ゴロに封じた。

駒大苫小牧(北海道)時代に出場した05年夏の甲子園準決勝でも対戦経験がある、1学年下の中田を封じると、お役御免となった。

沖縄・金武キャンプでは打撃投手やシート打撃で1度も登板せず、この日の実戦を迎えた。「本当にシートの延長みたいな感じ」と表現しつつ「打者に向かって投げられたことが一番大きな収穫」とうなずいた。

投球フォームは国内で15年ぶりのワインドアップに回帰。好調時のように150キロ台は出ていないが、直近ブルペンの138キロから3キロ速い最速をマークし、順調な回復ぶりを示した。

次回登板は未定で、体の状態を慎重に見極めながら日程を決めていくという。今江監督は「もちろん、開幕に向けて準備をしてもらいたい」と話すが、田中将は「まだまだやらないといけないことはたくさんある」と冷静に受け止める。登板後は約5分30秒の取材時間で「まだまだ」を8度連呼。日米通算200勝に3勝と迫るレジェンド右腕が、141キロから再出発した。【山田愛斗】

 

<田中将の手術からの主な経過>

◆23年10月下旬 神奈川県内の病院で右肘のクリーニング手術を受け、試合復帰まで4カ月を要する見込みと診断

◆24年1月 傾斜を使ったキャッチボールや60~70メートルのスローイングを実施

◆24年2月1日 キャンプ初日に立った捕手に51球

◆同4日 片膝立ちの捕手に初投球

◆同10日 座った捕手に初投球

◆同16日 ワインドアップで本格的な投球練習開始

◆同18日 ブルペンで今キャンプ最多の69球

◆同24日 オープン戦中日戦で今季実戦初登板

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