小さな三刀流が、慣れ親しんだ聖地でかっ飛ばした。0-0の2回1死。ヤクルト内山壮真捕手(21)が、左腕・富田の真ん中高め141キロ直球を左翼ポール際へ放り込んだ。甲子園は、星稜(石川)時代に1年夏から3季連続で出場。遊撃手として出場した2年夏には仙台育英との準々決勝で2打席連続本塁打と相性の良さを示してきたが、プロでは初の甲子園アーチ。思い入れのある球場? 「もうなくなりました…。いや、すみません、あります(笑い)」と充実感からなのか、ちゃめっ気たっぷりだった。

捕手に加え、外野手、三塁にも挑戦する4年目。昨季は「7番右翼」で、プロ初の開幕スタメンを勝ち取った。今季の開幕戦・29日中日戦(神宮)に向けて「今はライトでレギュラー争いだと思っているので、そこにしっかり開幕までに合わせて、開幕スタメンで今年も出られるようにと思ってやっています」。24年も、スタートは譲れない。

大きなライバルを下からまくる。右翼手の候補は公称181センチの西川、175センチの青木、177センチの浜田ら。172センチの内山にとって、身長もキャリアも上の面々との争い。オフから体重増加をテーマに掲げ、間食を増やし、おにぎり、バナナをもぐもぐ。筋トレも継続し、約2キロ増の77、78キロをキープ。小柄ながらパンチ力を発揮する。高津監督は「彼を外野で使おうと思ってるわけですから。(青木)ノリも、今日出た浜ちゃんもみんな競争してくれたらこちらとしてはうれしい」と期待した。小さくまとまらず、大きな1発をかましていく。【栗田尚樹】

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