自慢のブルペン陣に暗雲が漂い始めた。阪神がヤクルトに敗れ、球団ワーストを更新するオープン戦開幕8連敗を喫した。前年リーグ優勝チームでは、記録が残る65年以降で初の屈辱。同点の7回に4番手・岩貞祐太投手(32)が3四死球と崩れ、3失点で勝ち越しを許した。岡田彰布監督(66)は9四死球と乱れた投手陣に危機感を募らせ、先発した富田蓮投手(22)の中継ぎ配置転換を示唆。リリーフ要員を再編し、開幕へ向かう可能性が出てきた。

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アルプス席を開放した1日。今季最多3万162人の観衆が入った甲子園が、ため息に包まれた。同点で迎えた7回。岩貞が四球と自らの二塁悪送球で無死満塁とし、浜田に押し出し死球を献上。さらに犠飛、適時打で3失点し、一気に勝ち越しを許した。椎葉、ゲラ、岩貞、加治屋、島本を投入した中、岡田監督が褒めたのはゲラだけだ。

「他のピッチャーがフォアボールバンバン出してるのにな、そういうことやんか。寒い言うても、相手ピッチャーも一緒の条件で投げとるわけやからな。出てきてフォアボール、フォアボールは、お前なあ」

オープン戦開幕8連敗で球団ワースト記録を更新した。前年リーグ覇者では65年以降なかった屈辱だ。ただ、指揮官が連敗記録以上に危機感を募らせたのは9四死球を与えた投手陣。雪がちらつく寒さも言い訳にはならなかった。

「ましてや先頭へのフォアボールなんか、絶対に点になるよ、そら。終盤とかになるとな」

岩貞も先頭に四球を与えてからの失点だった。昨季レギュラーシーズンのチーム与四球は12球団最少の315。制球自慢の強固なリリーフ陣はリーグ優勝の一翼を担ったが、今春はここまで不安が残る。

先発で4回2失点だった左腕富田を「短いイニングやったらいけるんちゃうかな」と中継ぎに配置転換させる可能性まで浮上。ブルペン要員を再編するプランが挙がるほど、現状メンバーに物足りなさがある。1軍の中継ぎは8人構想で「3、4人は削らなあかん」と今後は絞り込み作業に入る。左右4人ずつの配置が基本線も「“5・3”になるかもわからんで」と左腕の「1減」もにおわせた。

「ブルペンで良くないピッチャーは全然あかん。ずっと言うてるやん。俺が言うてる目が正しかったと思うよ。はっきり言うて」

開幕まで約3週間。勝てない虎に、中継ぎ再整備の課題が突きつけられた。【中野椋】