日本ハム北山亘基投手(24)はファームで“放牧”状態だった昨夏に大学時代から続けていた「野球ノート」を全て見返した。心・技・体の3項目に分けてメモし続け、気付けば10冊。大学時代に書いていて、あらためて心に刺さった一節があった。

「自分の気持ちがこもったボールは相手を圧倒して差し込むボールになる」

球速や納得のいくボールが決まることが重要ではない。大事なのは気持ち。そのことを体感したのが1年目のヤクルトとの交流戦だ。「神宮の3戦目なんか、特にそれでしか投げなかった」。当時はルーキー守護神として臨むも1、2戦目は2夜連続でサヨナラ本塁打を浴びた。それでも新庄監督は3戦目も延長10回に起用。北山はオール直球勝負でリードを守りきったことも思い出していた。

昨夏は先発転向後に調子を落とし、2軍で試合にも投げない日々が続いていた。日頃から何事にも研究熱心で同僚やファンからも「教授」と呼ばれる右腕に、思わぬ形で生まれた“お暇”で野球人生で得た貴重な経験を頭の中で整理。「アレを見返した時に、あんまり注目されてない状態の時に大事にしていたような気持ちは、プロになっても大事なんじゃないかなと思った」。そんな気づきから始まった3年目の巻き返し。この日の107球にも気持ちがこもっていた。【日本ハム担当 木下大輔】