雨にも負けず記録に迫った。

阪神伊藤将司投手(27)が、雨中の力投で逆転勝利を呼び込んだ。7回4安打3失点。「ああいうところで、もうちょっと粘れたら…」と悔やんだのは、無安打無得点ピッチングで迎えた7回だ。先頭の3番佐野に右前打。「そこは全く意識していなかった」と本人は言うが、虎党からのノーヒットノーランの期待が高まる中、この日21人目の打者に初安打を許すと流れが変わった。

5番宮崎にも安打でつながれるなど2死二、三塁で前夜2安打の山本との勝負。岡田監督も「あいつら(バッテリー)が勝負する言うから、そら勝負させんと、そらしゃあない」と腹をくくったが、中前2点打を浴び逆転を許した。さらに2死一塁で石上の右前打を右翼手森下が後逸し、一気に一塁走者が生還。チーム9試合ぶりの3失点で、快投が一気に暗転した。

雨が強まり、5回終了時には36分間の試合中断を挟んでいた。そのまま雨で試合が終わっていれば…。コールドゲームでの無安打無得点試合達成は76年のロッテ三井以来、48年ぶり7人目で、球団では75年江夏以来の3人目の珍記録となっていたところだ。本物の無安打無得点試合よりもレアな記録を逃したが、なんとか粘り抜いて9回の逆転劇につなげた。

悪条件の中でも、初回先頭から鋭いライナーをさばくなど、冷静な投球を続けていた。中断時間があり再びアップが必要な状況でも、ブルペンでキャッチボールするなど「集中を切らないようにやっていました」。6回表の打席でも代打は送られず、岡田監督の信頼に応えようと必死だった。

0-0の5回には先頭で左腕浜口から今季初安打となる中前打。その後、ノイジーの押し出し四球で先制のホームを踏んだ。自ら打ち、マウンドで粘ったから9回の逆転劇がある。負けないピッチングで虎の背中を押した。【中野椋】

【関連記事】阪神ニュース一覧